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2011年07月08日
健康診査:糖尿病と言われても4割が「放置」 半数がインスリン療法を誤解
糖尿病は初期の段階では自覚症状が乏しい。そのため健康診査で高血糖を指摘されても、医療機関での受診や治療開始が遅れるケースが多い。健診で血糖値が高く「要治療」と判定されたにもかかわらず、医療機関で受診や治療を受けていない人の割合が約4割にのぼり、30歳代では約6割に達することが、健康日本21推進フォーラム(理事長:高久史麿・自治医科大学学長)の調査で分かった。

「要治療」判定後も受診していない人が23%
調査は、過去1年間に受診した健康診査で血糖値が高く、「要治療」と判定された男女500人を対象にインターネットで実施。その結果、「要治療」と判定後も医療機関で受診していない人の割合は23%だった。特に30歳代では未受診の割合が41%と高かった。
受診はしたが「治療をしていない」という非受療者の割合は16%を占め、未受診者と合わせた“放置群”の割合は39%にのぼった。30歳代では“放置群”が58%と特に多いことも分かった。
また、全体に糖尿病や合併症についての理解が浅く、インスリンについての誤解も多い実態が浮き彫りになった。「糖尿病は、血糖値が慢性的に高くなる病気」と理解していない人は28%に上った。
「人工透析や失明の原因の1位が糖尿病であることを知らない人は7割以上」、「およそ半数の人は“インスリン注射は最後の手段”と誤解している」など、糖尿病の治療について十分な理解を得られていない実態があきらかになった。
糖尿病の治療の目標は、良好な血糖コントロールを維持して、合併症を予防し、健康の人と変らない生活をおくること。インスリン療法は効果の高い治療で、患者の病態に合わせたインスリン製剤や、使いやすい注入器が開発され治療に使われている。合併症を予防するために、インスリン療法の早期に始めると有効であることは多くの研究で確かめられている。
そのため飲み薬で糖尿病の治療をしている人がインスリン注射を併行して始める「BOT(Basal supported Oral Therapy)」という治療が増えている。作用時間の長い持効型溶解インスリン製剤を、1日に1回自己注射する場合が多い。
しかし、今回の調査では治療法「BOT」を内容まで知っている人はわずか7%で、60歳代では0%という結果になった。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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