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2011年05月01日

ED治療薬の模造品 服用した男性が意識低下など健康被害

キーワード
医薬品/インスリン
 海外から個人輸入されたED(勃起不全)治療薬の模造医薬品を服用した40歳代の男性が、服用後にけいれんが起き、意識も低下したため医療機関に運ばれ、その後、回復して退院した事例が奈良県で発生した。
 厚生労働省は26日、模造医薬品による健康被害について、ホームページで注意喚起を始めた。「個人輸入される医薬品の品質や安全性は確認されておらず、有害な物質を含むものもある」としている。
「偽造医薬品で健康被害」注意を喚起 厚労省
模造医薬品
正規品に似せて作ってあり見分け
がつきにくい場合があるという。
「シアリス錠50mg」、「同100mg」は
正規品としては存在しない規格。
 発見されたのはED(勃起不全)の治療薬である「シアリス錠」(一般名:タダラフィル)の模造医薬品。奈良県立医科大学附属病院から、海外から個人輸入された模造医薬品による健康被害を防ぐ方法について相談され、医師に確認して分かった。

 医師の話によると、昨年6月頃に40歳代の男性が模造医薬品であるシアリス錠50mgを服用し、数時間でけいれん、意識低下を生じ、同センターに搬送され脳の静脈に血栓があることが確認された。医師が診療したところ、静脈がつまる塞栓症のほか、肺水腫や急性腎不全などを起こしており、模造薬との因果関係が疑われるという。男性はその後、回復し退院した。

 シアリス錠50mgは、正規の医薬品として販売されておらず、偽物だと分かった。奈良県から「症状と模造医薬品との因果関係が疑われる」と報告を受けた厚生労働省は26日、ホームページで注意喚起を始めた。

 生活習慣病の増加やストレスなどを背景に、EDの症状を訴える患者は増えているという。シアリスは服用後1時間以降、36時間までの性交渉において治療効果のある医療用医薬品。病院、診療所の医師の処方にもとづき薬局で調剤されている。日本では日本新薬が販売している(製造販売元は日本イーライリリー)。

海外から個人輸入やインターネットを通じて流通
 奈良県薬務課では「正規メーカーが製造したものでない偽造医薬品は海外だけでなく、インターネットを通じて国内にも流通している」としている。インターネットで流通しているED治療薬(ファイザー:バイアグラ、バイエル薬品:レビトラ、日本新薬・日本イーライリリー:シアリス)を調査したところ、55.4%が偽造品だった。

 また、ED治療薬だけでなく、抗肥満薬などさまざまな種類がある。日本で個人輸入された抗肥満薬を分析したところ、成分がすべて澱粉であり、有効成分が全く含まれていない偽造医薬品であることが判明した例が報告された。

 同県薬務課では「偽造医薬品の中には、有効成分を含まないものから、健康被害を生じるような有害な化学物質を含むものなど、さまざまなものがある。服用することで健康を害することもあり、重篤な場合は死にいたることもある」と注意を呼びかけ、服用が必要な場合には「医師からの処方にもとづき薬局で調剤された医薬品を服用するよう」と警鐘を鳴らしている。

 こうした偽造医薬品は「アパートの一室など不衛生な場所で製造されており、麻薬や覚せい剤なども製造されている可能性もあり、それらの物質が混入するおそれもある」としている。

模造医薬品による健康被害に対する注意喚起(厚生労働省)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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