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2010年12月28日
中国は世界一の「糖尿病大国」 インドを抜いてトップに
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- IDF(国際糖尿病連合)
糖尿病対策は日本だけの問題ではなく、世界中で共通の課題となっている。今年11月の世界糖尿病デーにあわせて発表された中国の調査研究によると、中国の糖尿病有病数と予備群数の合計は2億4000万人以上で、日本の10倍以上に上る。
糖尿病の診断・治療を受けていない人が5000万人
国際糖尿病連合(IDF)と中国糖尿病協会(CDS)が共同で行った研究によると、中国の糖尿病有病数は9240万人。世界で糖尿病有病数がもっとも多いとされるインドの5080万人を抜き、世界一の「糖尿病大国」となった。糖尿病を発症する危険の高い予備群の数は1億5000万人に上る。
IDFとCDSの共同調査は、約5000人の中国人を対象に2008〜2010年にかけて行われた12件の研究と、最近のものでは1920人を対象に行われた5件の研究をもとにしている。
それによると、中国の9240万人の糖尿病有病者のうち、糖尿病と診断されておらず治療を受けていない人が5000万人に上るという。適切な対策をしないと、今後10〜20年のうちに、脳卒中や視覚障害、腎症といった糖尿病合併症を発症する人が急速に増えるだろうと予測されている。
糖尿病を発症していても、検査を受けないので発見が遅れる人が多い。糖尿病では初期のうちから治療を開始すると、合併症の進行を抑えることができるが、適切な治療を行わないで病状が進行すると医療費も高くなる。
調査では、中国の医療費の13%は糖尿病によるもので、糖尿病を発症してから1〜2年で治療を開始した場合に比べ、発症から10年以上も治療を行わないでいると、医療費は4.6倍に膨れあがることが示された。
日本では「国民皆保険制度」と「フリーアクセス(患者が自由に医療機関を受診できること)」が確立されており、世界でもトップクラスの医療を誇る。一方、中国は経済成長は著しいが、医療体制の整備には課題があるという。
中国では1980年代頃まで、患者は公費医療制度のもとで医療サービスを受けることができ、医療機関も非営利の公立機関だった。その後、中国政府は財政難に直面し、公立病院への財政支出は次第に減っていった。
糖尿病の早期発見・治療を促進 中国の27都市で啓発イベント
中国の糖尿病医療費は250億米ドル(約2兆円)に上ると見積もられている。調査では、都市部に住むの糖尿病患者は比較的恵まれており、89%は健康保険をもち、医療費は家計収入の11%にとどまることが分かった。しかし、糖尿病のない人や軽症の患者に比べ、医療費は9倍に高まることも示された。
糖尿病と糖尿病合併症を予防し、医療費を抑制するために、糖尿病を早期発見し治療を開始することが重要となる。中国糖尿病協会理事長のLinong Jig教授は今回の調査結果について、「多くの患者は適切な治療を受けることで、糖尿病や糖尿病合併症の発症を抑えられる」と強調する。
しかし実際には、中国の糖尿病有病者の10人に6人が糖尿病と診断されていない。最近では若い世代でも糖尿病が増えているという。中国の糖尿病のある人のうち、脳卒中や心筋梗塞を発症した人は5%未満、糖尿病腎症や網膜症、足病変といった合併症を発症した人は5%未満に上る。
薬物療法を受けている人のおよそ半数は血糖降下薬を服用しているが、降圧薬、スタチン、アスピリンで治療している人は、それぞれ16%、1%、13%だった。これらの薬剤は有効性と安全性が確認されており、糖尿病合併症の危険性を半分に減らすことができるが、中国ではあまり治療に活用されていない。
さらに深刻なのは、喫煙率が高いことだ。日本人の喫煙率は最近の調査によると男性で38%、女性で11%で、年々減っているが、中国では現在では糖尿病有病者の半分以上がたばこを習慣的に吸っているという。喫煙は糖尿病合併症の危険性を2倍から4倍に高めることが知られている。
Jig教授は「糖尿病についての正しい知識を広めることが大切。大規模な啓発キャンペーンを全土で行う必要がある」と話す。
中国政府は今年、10万人の地域の医師を動員し、糖尿病医療を促す3年間のプロジェクトを開始した。また、11月14日の世界糖尿病デーにはIDFの専門委員会と共同で、万里の長城や北京国立劇場、中国の27都市で糖尿病啓発イベントを実施した。
China spends RMB 173.4 billion (US$25 billion) a year on diabetes treatment(国際糖尿病連合、2010年11月14日)Five Questions With … Prof Linong Ji(国際糖尿病連合、2010年11月14日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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