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2010年01月20日

被災した糖尿病患者に緊急の支援 ハイチ地震発生から1週間

 カリブ海のハイチで1月12日、マグニチュード7.0の強い地震が発生した。赤十字国際委員会(ICRC)によると、25万人が負傷し150万人が家を失った。被災した糖尿病患者への救援活動が伝えられている。
ハイチ地震で糖尿病患者が被災
 国際糖尿病連合(IDF)と、オーストラリアを拠点に活動している「インスリン・フォー・ライフ(IFL)」は、ハイチ糖尿病協会などと協力し、地震で被災したハイチの糖尿病患者への救援活動を始めた。

 IDFがまとめた「糖尿病アトラス」によると、ハイチの糖尿病患者数は30万人以上。IDFとIFLは協力して国際的な支援活動を展開し、インスリン、血糖値測定器、試験紙などの支援物資を、緊急にハイチ糖尿病・循環器疾患財団に宛てて発送した。

 同財団副理事長のPhilippe Larco氏によると、ハイチの唯一の糖尿病専門病院は、いまのところ無事だという。「糖尿病関連の医療資材を、糖尿病協会や財団のネットワークを通じて、最善の方法で糖尿病患者に配布する準備を整えている」とLarco氏は述べている。

 IDFは、ハイチの糖尿病患者に対する支援活動を助けるために、ハイチ糖尿病トラスト基金を設立し、IDFに加盟する各国の糖尿病協会に支援を呼びかけている。IDFではインスリンなどの医薬品や医療資材の支援を受けとることができないので、IFLを通じて実際的な支援活動が行われている。

 IDF理事長のJean Claude Mbanya氏は「わたしたちは地震で被災した方々のことを心配し、祈るような気持ちでいる。被災地の糖尿病患者が必要な支援を受けられるように、IDFを陣頭に世界の糖尿病に関わる団体が協力し活動を続けていく」と述べている。

インスリン・フォー・ライフ(IFL)の国際支援活動
 「インスリン・フォー・ライフ(IFL)」は、途上国の糖尿病患者を支援する活動を国際的に展開しているNGO(非政府組織)。オーストラリアを中心に、米国、英国、ドイツ、オランダへと活動拠点を広げている。

 IFLはハイチ地震の発生が伝えられると、ただちに支援活動を開始した。地震発生の2日後までに、ハイチに向けてインスリンや血糖測定器、注射針、インスリン注入器などを送付する準備を整えたという。そうした支援資材は糖尿病患者200人が1ヵ月生きながらえる量に相当するが、被災地に届けられるまでに4日が必要となる。

 理事長のロン・ラーブ(Ron Raab)氏は「ハイチで悲劇的な地震災害のために亡くなった方は数十万人に上る。300万人近い人が被災しており、30万人以上とされる糖尿病患者のうち、糖尿病のケアを受けられない患者が多い。誰かが支援しなければ、途上国で被災した糖尿病患者は生き続けることができない」と述べている。

 「インスリンは命をつなぐ薬だ。私たちはハイチの糖尿病専門家に直接、インスリンや医療資材を届けることができる。世界中の医師や患者に支援を呼びかけ、多くの方々が協力してくれている」とラーブ氏は話す。

 IFLが設立されたのは1999年。欧米やオーストラリアで未使用の医薬品や医療資材を、途上国の糖尿病協会などに届けることから支援活動を始めた。「わたしたちはコスト効率の良い、革新的な人命救助の支援プログラムをつくることで、21世紀の新しい事業モデルを構築したい」としている。

世界で糖尿病で亡くなる子供をゼロに
IFLが公開しているビデオ(YouTube)
IFLのニール・ドナラン(Neil Donelan)氏と、理事長のロン・ラーブ(Ron Raab)氏らは、国際的な支援活動への協力を呼びかけている。

(クリックすると再生します)

IDF establishes Diabetes Trust Fund for Haiti(国際糖尿病連合)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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