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2008年11月25日
低カロリー食で寿命が延び老化も防げる
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この研究は、ノースカロライナ州のニューポートに本部のある「カロリー制限協会(Calorie Restriction Society)」のメンバー28人に参加してもらい、米ワシントン大学医学部のルーイジ・フォンタナ博士らによって行われた。医学誌「Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism」電子版に発表され
同協会は、1日1400kcal〜2000kcalに管理した食事を続けることを目的に活動している。メンバーは40歳以上の中高年。カロリーを減らすだけでなく、精製された穀物や砂糖、加工食を避け、野菜、豆類、全粒穀物、魚、果物を十分にとり、栄養バランスにも注意しているという。さらに運動を習慣的に行うことも大
参加者は平均6年間、1日のカロリー摂取量を平均1800kcalに抑え、蛋白質やビタミン、ミネラルなど微量栄養素は推奨量の100%をとっていた。デスクワーク中心で1日2700kcalの平均的な欧米食をとり続けた28人と比較した。
その結果、低カロリー食をとり続けた人では、血圧、LDLコレステロール、血糖値、血中インスリン値が低く、善玉のHDLコレステロール値が高いことが示された。超音波検査で心臓の老化が遅いことも確かめられた。
肥満は歳をとると発症が増える2型糖尿病などの病気の要因であり、カロリー摂取量を減らすことで老化を遅くすることができる。過去に行ったマウスによる実験では、食事の量を3割から5割減らすことで5割も長生きできるようになったという。他にもカロリーを減らしながら、必要な栄養素を十分にとっていれば、2型糖尿病、脂質異常症、動脈硬化症の予防や対策になるという科学的な調査は多
研究ではカロリー制限が、酸化ストレスによるダメージと身体の代謝率を低下させることで長寿につながる可能性が示唆された。研究者は「痩せるよりもむしろエネルギー摂取量を減らすことで抗加齢の効果が得られる」と述べてい
脂肪細胞からはさまざまなホルモンやサイトカインが分泌されている。「TNF-α」は炎症が起きたときに多く出てくる物質で、内臓脂肪がたまるとTNF-αも増える。インスリンの働きを悪くする「インスリン抵抗性」の発症に関与し、2型糖尿病との関係で注目されている。カロリー制限によりTNF-αの血液濃度は減少する。
米国の人口の90%で、カロリーの必要摂取量を50%も上回っているという報告がある。一方で2型糖尿病が増加しており、人口の8%に相当する。研究者らは「摂取量を半分に減らしたとしても、エネルギー摂取量と消費量のバランスの最低ラインは保たれる。食べ過ぎを防ぎ、健康的な食事を心がけるべきだ」と述べている。
カロリーを制限すると何が違ってくるか(ワシントン大学、英文リリース)
カロリー制限協会(Calorie Restriction Society)
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