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2008年02月25日
治療を受けやすくなる糖尿病のフットケア
- キーワード
- フットケア情報ファイル 糖尿病合併症
糖尿病と足は、意外なほど関係が深い。日常生活で足に気を使うことはあまり多くないが、糖尿病があると足の手入れと早期の治療が非常に重要になる。
足を守るために、もっとも大切なことは良好な血糖コントロール、さらに日常で足のケアを行うことも有効だ。糖尿病足病変は、きちんとしたケアを施せば、悪化を防止することができる。
なぜ足のトラブルは起きるか
- 神経障害
高血糖が続くと糖尿病神経障害が起きることがある。神経障害があると痛みを感じにくいため、ケガやヤケドに気付きにくく、つい放置しがちになる。糖尿病患者の3人に1人の割合で軽度の神経障害がある。 - 血液の循環が悪くなる
動脈硬化などが進行し血流障害が起きやすくなる。高血圧症を合併していると特に多い。血液の流れが悪いと、足の先まで酸素や栄養がとどかなくなり、傷口が化膿しやすくなったり、治りが遅くなる。 - 感染症
高血糖が続くと感染症にかかりやすくなる。免疫反応が弱くなっているため、細菌の感染に対して抵抗力が弱くなっていることがある。正しく切るために爪切り以外の道具を使うのも良い。専用ヤスリが千円から数千円で手に入る。
糖尿病のフットケアについて下記で詳しく解説している。
糖尿病セミナー-17. 足の手入れ - 足の変形
神経障害のあると、槌趾(足の指が曲がること)、腱膜瘤(足の親指の付け根の関節が炎症を起こした状態になること)などを起こすことがある。この変形は、ウオノメ、タコ、水ぶくれ、潰瘍などの原因になる。放置しておくと細菌が入り重大な感染症を引き起こすおそれがある。
足の感覚をチェックしよう
足にできた潰瘍や壊疽を治療しないで放っておくと、外科手術が必要になり、ひどい場合には足を切断しなければならなくなる場合もある。厚労省が公表した資料によると、糖尿病で治療を受けている患者のうち、足壊疽を合併している患者は1.6%(2002年)で、1997年の0.4%から5年間で4倍に増えた。
足に痛みや圧迫を感じなければ、神経障害が起きているおそれがある。主治医に相談し、定期的に足の診察を受けよう。年に1度は足の検査をしてもらい、血糖コントロールとフットケアについて、主治医や医療スタッフとよく話し合おう。
爪の切り方にも注意したい。切りすぎると深爪や巻き爪を招くことになる。硬くて切りにくい爪は、無理に自分で切らずに医師や看護師に処置してもらいたい。
- 足に変色した部分、痛み、切り傷、あざなどの傷がないか毎日確かめよう。鏡を使えば足の裏側もチェックできる。
- 神経障害により足が冷えることがあるが、熱さに対しても鈍くなっているので、こたつや電気カーペットなどでは低温ヤケドのおそがある。
- 足に合った靴をはく。足に合わない靴をはいていると足をいためる。
毎日の足のケアで水虫を予防・対策
足の皮膚温度を自己測定し潰瘍を予防
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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