ニュース
2011年07月05日
透析患者数:導入患者は2年連続で減少 糖尿病腎症も減少に転じる
- キーワード
- フットケア情報ファイル 糖尿病合併症
日本透析医学会が実施している統計調査「わが国の慢性透析療法の現況」(速報値)によると、2010年末までの時点で新たに透析治療を始めた患者は3万7532人で、前年に比べ34人減少した。糖尿病性腎症は原疾患の第1位だが、この数年は減少傾向が続いており、新規透析患者数は約1万6300人だった。
導入患者数は2年連続で減少
糖尿病性腎症が原疾患:全体の4割以上の1万6271人
調査は日本透析医学会が全国の4226施設を対象に実施したもの(4125施設から回答)。それによると、新たに透析療法を始めた導入患者数は3万7532人で、2009年に続き2年連続で減少した。
透析導入の原疾患の第1位は「糖尿病性腎症」(1万6271人、43.5%)で、前年度より1.0%減少した。糖尿病性腎症は1998年に原疾患の1位になり、その後も増加を続けていたが、この数年は増加が鈍ってきている。2008年末の調査ではじめて減少し、2009年は1.2%増加したが、今年はふたたび減少に転じた。
糖尿病性腎症が原疾患:全体の4割以上の1万6271人
日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況(2010年12月31日現在)」
透析患者数29万7126人 430人に1人が透析
【糖尿病合併症】 関連トピック
国内で透析療法を受けている慢性透析患者数は29万7126人で、前年度より6465人増加した。これを人口100万人当りに換算すると2320.3人になり、前年度より40.8人増加した。日本で430人に1人が透析治療を受けている計算になる。
うち糖尿病が原因となり透析をしている患者は10万2788人にのぼる。透析治療を受けている患者のうち、原疾患が「糖尿病性腎症」である割合は35.8%で、前年度より0.7%上昇した。糖尿病性腎症が年々上昇している一方で、原疾患1位の「慢性糸球体腎炎」(36.2%)は減少傾向にあり、その差はわずか0.4%となった。
日本透析医学会では「降圧薬など治療薬の普及や健診などでの検査が早期発見・治療につながっているとみられる。今後の継続調査によって変わる要素はあるにしても、導入患者の増加一辺倒の傾向に変化が出てきた」としている。透析患者の医療費は年間約500万円ともいわれ、このまま減少傾向が続けば医療費削減の効果も期待される。
施設患者数の多い上位5都道府県は(1)東京都、(2)大阪府、(3)神奈川県、(4)愛知県、(5)埼玉県。上位9県では患者数が1万人を超えている。透析の治療形態は、昼間血液透析が82.5%で、前年度より0.3%増加した。夜間血液透析は14.1%で0.3%減少、在宅血液透析患者は0.1%だった。
(社)日本透析医学会 統計調査委員会図説「わが国の慢性透析療法の現況(2010年12月31日現在)」
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
フットケア情報ファイルの関連記事
- 京都大学発の新たな人工皮膚が承認 「糖尿病性潰瘍」に効果
- 糖尿病患者の痛風リスクがフェノフィブラートで半減 FIELD試験
- 糖尿病腎症による透析導入はやや減少 「健康日本21」中間評価
- 腎臓専門医への「紹介基準」を公表 日本糖尿病学会・日本腎臓学会
- PCSK9阻害薬の適正使用フローチャート 動脈硬化学会が見解を表明
- 糖尿病の人は「足の冷え」「しびれ」に注意 足の動脈硬化を改善
- 自分の足を知ろう 「足潰瘍」は合併症 足切断の5分の4は防げる
- ウォーキングで下半身を強くすると運動を続けやすい 「老化は足から」
- 水虫に対策するための8つのケア 糖尿病の人は夏こそ「フットケア」
- 次の診療で足を見てもらおう 「PAD」(末梢動脈性疾患)にご注意