開催報告

第40回 若い糖尿病患者さんとのグループミーティングのまとめ(1)

東京女子医科大学糖尿病センター 小林浩子 先生
(運営メンバー/ファシリテーター)

第40回グループミーティングを開催しました。年4回の開催なので、ちょうど10年目の節目を迎えます。

毎回、発症して間もないので何もわかりませんという方とともに、発症して何年も経ちつつも、自分以外の1型の人と話すのは初めてですと感慨深げに感想を述べられる方、その両方の方が参加されます。
ともかく参加していただき、『ひとりじゃないんだ…』と皆様が実感し、1型糖尿病という病気とともに生きるためのエネルギーを補給できる場、そんな空間と場所を目指していきたいと思います。

ミーティングは、チャプレン齋藤先生の「種をまく人」という有名な絵画にまつわる話から始まりました。種は荒地では育ちませんが、肥えた土地では立派な実を結びます。ちゃんと根が出て育っていくよう、自分という畑を耕していきましょう、という教訓が根底に流れているというお話をしてくださいました。
今回も2歳から60歳までの患者さんが30名、ご家族7名が、様々な思いと共に参加されました。きらりとした種を、上手く育んでいけるよう、ひとりひとりの話に耳を傾けていきます。

インスリン治療を始めて、発症して1ヶ月にもならない女性がご夫婦で参加されました。小さいお子さんを抱えて、ご本人はもちろん、ご主人もいったいこれからどうなるのだろうかと、悩まれていました。ちょうどタイミング良く、今回参加された方の中に、働きながらの子育てを経験した女性がおられました。
子育てはほんとうに大変です。特に、日常生活の中で食事の前の時間は大変です。食事の準備と配膳、子どもに手を洗わせ、イスに座らせる、そのうえに当人はインスリンを準備し、何単位注射するのかを決めなければならない。。。。。

その方はさり気なく、1ヶ月前に発症した女性のご主人に、配膳など、食事前にできることを手伝ってはどうかと、さっと、タイミングよく、アドバイスされました。私は医療者として何をお伝えできるかを考えていましたが、とっさに食前のせわしない状況をイメージすることはできませんでした。ご自身の貴重な体験に基づく的確なアドバイスだなあと、思わず拍手したくなりました。

1型糖尿病という病気は同じですが、向き合い方、考え方は人それぞれです。同じような悩みであっても、納得できる対処の方法は、一人ひとり違います。いろいろな人の話を聴きながら、自分に合ったやり方を見つけていく…そして人との違いを認識し、共に生きていける成熟した社会を創っていくこと、微力ながらその過程がお手伝いできればと思っております。
今後とも『若い糖尿病患者さんとのグループミーティング』をよろしくお願いいたします。

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