第4回 若い糖尿病患者さんとのグループミーティングのまとめ
東京女子医大糖尿病センター 小林浩子
シルバーウィーク最終日に第4回グループミーティングを開催しました。患者さん18名と医療関係者17名が集まりました。
うれしいことに今回もはじめて参加の方が数名おられまして、参加しようと思った気持ちを簡単に話していただきました。発症後したばかりで不安の中で手探りの毎日を過ごされているとか、ここに来て同じ病気の人に出会えて大きな勇気をもらったからまた参加してみたとか、若い頃から糖尿病と付き合ってきて力強く生きていくことを知り、今はむしろ病気に感謝しているという思いとか、様々の思いをお聞きすることができました。
親として参加してみたいというお母様が数名、参加されました。今までの治療を続けていくことに不安を抱えているのだが、なんにもしてあげられないという思いをお話されました。
季節がら新型インフルエンザの情報が錯綜し、その対応に戸惑っているとの声も聞かれました(直接通院されている医療施設で十分対応すべき話題でもありますが)。
医療関係者からは患者さんが何を思って何を望んでいるのか、外来での短時間でどのようにポイントをつかんでお応えすべきなのかという思いや、患者さんの思いを十分にきけていないのではないかという気持ちをなんとかしたいという思いが語られました。
昼食の時間や午後の小グループミーティングではざっくばらんに自分のことを話しあうことができました。周囲に自分の病気をどう伝えていくのか、血糖コントロールをすることと食欲をどう折り合いをつけていくといいのか、インスリンの量はどうすればいいのか、など、現実の毎日のことが、経験のある方から知りたいという思いの方に伝わったり、また同じ悩みを持っているのだなという共感をお互いにもつことができたりと、参加者にとってはうなづくことの多い時間となりました。
この会には、患者さんも、医療関係者も、全国の様々な施設からひとりで参加されています。同じ病気であっても、それぞれの施設での対応が違うことを知って、驚くこともありました。
ひとりで抱え込んでいた悩みでも参加された皆さんと分かち合い、視野を広げていくことでちょっとずつ軽くなったようです。医療関係者は患者さんの生の声の力を改めて実感しました。
あっという間の4時間のミーティングの締め括りに、チャプレン齋藤先生は「星の王子様」のエピソードを紹介しました。
・・・大人は数字が好きだからね。例えば、新しい友達のことを旧知の君に話そうと思っても、君は『どんな声でしゃべる人?』『どんな遊びが好きなの?』とか、聞こうとしない。『年はいくつ?』『何人兄弟?』『お父さんの収入は?』なんてことばかり君は聞いたりする。それですっかり君はその友達のことを理解した気になっているんだ。・・・
医療現場では数字はとても大事です。でも本当にその人を援助したいと思ったら、同じ立ち位置に立って、じっくり話し合う。そうすれば砂漠の中で"王子様"と"僕"が最後に井戸を探しあてたように、私たちにも何かが見えてくるかもしれません。