開催報告

第3回 若い糖尿病患者さんとのグループミーティングのまとめ

東京女子医科大学糖尿病センター 小林浩子

 第3回グループミーティングの日は、どんよりとした厚い雲の下、雨が激しく降りつける日曜日でした。患者さん16名と医療者14名が見はらしのよいビルの一室に集いました。

  「私たちは生きていく上で専門家の意見をきき、それを選択していく自由があります。同時にその選択に責任を持つのも私自身です。」

  「医療者は専門家としてどのように死や合併症から身体を守るかは教えてくれるが、その人がどう生きるかの手伝いはしません。」

 医療者は専門家として患者に何を伝えていくべきなのでしょうか? また患者さんと医療者はどう歩み寄るべきなのでしょうか? 大きな問題から、今回の話し合いが始まりました。

 後半は小グループでの話し合いを行いました。前2回と異なり患者さんと医療者に分かれておこなってみました。医療者グループでは、たとえばインスリン注射を自己中断して倒れて運ばれてくる患者さんについて、「この患者さんは糖尿病を受容していないんだ」と言葉で言うのは簡単だけれど、それはどういうことなのか、短い診療時間でどのようにして話しをきくのか、患者に携帯電話番号を伝えて自分のプライベートな時間に電話がかかってくるとどう感じるか、などを話し合いました。

 患者さんのグループは、いかにして血糖コントロールを良くするのかという非常に実務的、器械的な内容が多かったようです。不安だからこそインスリンの量や種類の話しになっていくわけで、患者さんからは「自由に対するその責任を果たそうとしている患者の生活を支援してほしい」、「自身の生活に責任を期待されれば仕方のないことで、皆が一生懸命生きようとしていることだと思う」との感想がきかれました。今回は医療者と患者さんが別れて話しあいしてみましたのですが、両者のいま考えていることに、コントラストがあることがわかりました。

 「今日話したこと、そして他の方々の考えを聞いたこと、自分の人生は糖尿病だけだということで考えないこと、人生はもっともっと豊かなもの、それを確信してもらいたい」という言葉とともに、参加者各々が自分の中のテーマを考えつつ帰途につきました。

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