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2025年06月24日
減塩食が糖尿病の合併症リスクを低下 塩分を減らすと血圧を下げられる 【おいしく減塩する方法】
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- 糖尿病の検査(HbA1c 他) 糖尿病合併症 食事療法
塩分のとりすぎはなぜ良くない? 合併症リスクが上昇
塩分(ナトリウム)は体のなかに常に一定の割合で含まれており、生命維持に欠かすことのできない重要な働きをしている。
しかし、塩分のとりすぎは体にさまざまな害をもたらす。その代表とも言えるのが高血圧だ。塩分が増えると、体は塩分濃度を一定に保つために水分をためこもうとする。その結果、血液の全体量が増え、心臓からおくりだされた血液が血管に強い圧力をかけるようになり、血圧が上昇する。
とくに高血圧と高血糖の状態が続くと、血管は傷つきやすくなり、動脈硬化が進行しやすくなる。その結果、命にかかわる脳卒中や心臓病、腎臓病などを発症するリスクが上昇する。
多量の汗をかいたときなどは、塩分が急激に失われることがあるので注意が必要になるが、通常の食事や運動をしているときに塩分が欠乏することはない。とくに日本人の食生活では、塩分の過剰摂取が課題になっている。
関連情報1日6g未満の減塩を推奨 おいしく減塩するコツ
塩分は血糖値に直接には影響を与えないが、糖尿病の管理を改善するためにも、塩分の摂取量を減らすことは重要になる。
日本高血圧学会は、とくに糖尿病や腎臓病のリスクのある人は、循環器病や腎不全を予防するためにも、1日6g未満の減塩を勧めている。
同学会によると、おいしく減塩するコツは次の通り――。
- めん類の汁やスープを残す
- みそ汁は1日1杯以内、野菜などの具沢山に
- 味見をせずにむやみに調味料をかけない
- 塩ではなく、酢や香辛料を積極的に使う
- 食材本来の味を楽しむようにする、風味付けを工夫する
- 塩味の濃い加工食品(練り物、ハム・ソーセージなど)や惣菜などを控える
- ポテトチップス、ポップコーン、クラッカーなどの塩味の強い食品を食べない
- 減塩しょうゆや減塩みそを使う、減塩食品を活用する
糖尿病のある人が減塩食品を使うと血圧を下げられる
食塩をとりすぎると高血圧になりやすく、減塩により血圧を下げられることが、多くの研究で確かめられている。
普通の塩と変わらぬ塩味で、塩分をカットした塩も、スーパーなどで入手しやすくなってきた。そうした代替塩は、食塩と同程度の強さの塩味をもたせるために、カリウムやマグネシウムなどが使われている。
糖尿病のある人が、食塩の代わりに代替塩を利用すると、血圧を下げられるという新しい研究が発表された。研究成果は、「Cochrane Database of Systematic reviews」に掲載された。
オーストラリアのタスマニア大学などの研究グループは、1型糖尿病と2型糖尿病の成人が参加した、代替塩の効果を調べた世界中で実施されたランダム化比較試験などを解析した。
その結果、塩分(ナトリウム)の摂取量を減らすと、収縮期(最高)血圧と拡張期(最低)血圧の両方が低下することが明らかになった。
糖尿病のある人は、体液量が増えたり、血液が流れにくくなる血管抵抗が起こりやすいことなどを背景に、とくに高血圧になりやすいと考えられている。糖尿病と高血圧と併発している人はは多い。
野菜などからカリウムをとることも大切
高血圧を改善するために、野菜などに多く含まれているカリウムを十分にとることも大切になる。カリウムは、ナトリウムの排泄を促進し血圧を下げる働きをする。
カリウムは、ホウレンソウ、コマツナ、ブロッコリー、ニンジン、トマトなどの野菜や、イモ類、海藻類、リンゴやベリーなどの果物に多く含まれる。
米国糖尿病学会(ADA)のガイドラインでも、食事ではナトリウムの摂取量を減らして、カリウムを増やすことが推奨されている。
「ナトリウムの摂取量が多く、カリウムの摂取量が不十分であると、血圧が高くなり、心臓病や脳卒中などのリスクが高くなります」と、タスマニア大学医学研究所のアンブリッシュ シン氏は述べている。
「高血圧と低カリウム・低マグネシウムの両方に悩まされている糖尿病患者さんにとって、ナトリウムを減らしてカリウムに置き代えた代替塩は効果的である可能性があります」としている。
ナトリウム(食塩)とカリウムを測って健康に ナトカリ手帳 (厚生労働省)
Diabetes and High Blood Pressure (米国糖尿病学会)
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