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2025年06月19日

昼寝が糖尿病や高血圧のリスクを減少 ただし長時間の昼寝は逆効果 【上手な昼寝のとり方】

 昼寝をとりいれることで、頭がすっきりし、気分は良くなり、日中の活動や仕事のパフォーマンスを上げることを期待できる。

 短い昼寝は、糖尿病や高血圧、心臓病や脳卒中のリスクを低下させるという調査結果が発表されている。

 ただし、注意をしなければならないこともある。長時間の昼寝は逆効果になる可能性があることだ。日中のパフォーマンスを上げるためであれば、昼寝は10分から20分を目安にすると良さそうだ。

昼寝は簡単に取り入れることができる

 昼寝をとりいれることで、頭がすっきりし、気分は良くなり、日中の活動や仕事のパフォーマンスを上げることを期待できる。それに加えて、昼寝は健康増進にも役立つという研究が発表されている。

 睡眠が足りていない人は、短い昼寝をとると、血圧管理が改善するという調査結果を、米国心臓病学会(ACC)が発表した。

 「睡眠をしっかりとることは、健康維持のための重要な要素です。睡眠時間が短すぎる人は、肥満、糖尿病、高血圧、うつ病などを発症する可能性が高くなります」と、ギリシャのアスクレピオン総合病院の心臓専門医であるマノリス カリストラトス氏は言う。

 「昼寝には、他の健康的なライフスタイルと同程度に血圧を下げる効果があるようです。昼寝は簡単に取り入れることができ、特別な費用もかかりません」としている。

短い昼寝をとると高血圧が改善

 研究グループは、平均年齢が62歳で収縮期(最高)血圧の平均が129.9mmHgの成人212人を対象に調査した。うち25%の人が糖尿病をもっていた。

 その結果、昼寝をとる習慣のある人の24時間の収縮期(最高)血圧の平均は、昼寝をとらない人に比べて5.8mmHg低かった。

 「ただし、昼寝をとる習慣は、夜間に十分な睡眠をとれていないことと関連している可能性もあります。夜に眠れていないという人は、専門家に相談することをお勧めします」と、カリストラトス氏は指摘している。

 「生活全体を見直すことも重要です。たとえば、塩分とアルコールの摂取量を減らすと、血圧を3~5mmHg下げられる可能性があります」としている。

短い昼寝は心臓病や脳卒中のリスクも低下

 ただし、注意をしなければならないこともある。長時間の昼寝は逆効果になる可能性があることだ。日中のパフォーマンスを上げるためであれば、昼寝は10分から20分を目安にすると良さそうだ。

 週に1~2回の昼寝をとる習慣は、心臓病や脳卒中のリスクを低下させる可能性があるという別の研究も発表されている。

 研究グループは2003~2006年に、スイスのローザンヌの35~75歳の住民3,462人を対象に、昼寝の頻度や平均時間と、心臓病、脳卒中、心不全などのリスクとの関連を調べた。

 その結果、短い昼寝を週に1~2回とっている人は、昼寝をまったくとらない人に比べて、心臓発作、脳卒中、心不全のリスクが48%減少した。

 ただし、昼寝の時間が長い人や、昼寝をとる頻度の高い人では、こうした効果は打ち消された。

 「短い昼寝をたまにとる程度であれば、昼寝は心血管疾患リスクの減少と関連していることが示されました。昼寝をとるときに重要なのは、時間や頻度である可能性があります」と、ローザンヌ大学病院および睡眠研究センターのナディーン ハウスラー氏は述べている。

長時間の昼寝は糖尿病リスクも高める 昼寝は10~20分を目安に

 睡眠が足りていない人は、短い昼寝をとると、2型糖尿病のリスクを軽減できる可能性があるものの、30分を超える昼寝は、逆に糖尿病リスクを上昇させるおそれがあることが、中国の寧波大学の別の研究でも示された。

 30分を超える昼寝は、糖尿病リスクを8~21%高めるとしている。糖尿病予備群でも、30分を超える昼寝は、1~2ヵ月の血糖の平均をあらわすHbA1c値と空腹時血糖値の上昇と関連していた。

 30分を超える長い昼寝は、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌に影響を与え、概日リズムの乱れにつながり、夜間の睡眠を妨げるおそれがある。その結果、2型糖尿病や肥満のリスクをさらに高める可能性があるとしている。

 昼寝をとるときは、概日リズムを整えるために、▼30分を超える昼寝をとらない、▼起きたら明るい光を浴びる、▼午後遅い時間や夕方以降の昼寝は夜の睡眠に影響を与えるので、とくに注意が必要、といったことをアドバイスしている。

長い昼寝は睡眠惰性を引き起こす
規則的な睡眠スケジュールが大切
 規則的な睡眠スケジュールが大切であることは、最新の大規模な調査でも示されている。詳細は、米国睡眠医学会(AASM)と米国睡眠学会(SRC)が共同で開催した年次総会で発表された。

 「短い昼寝であればパフォーマンス向上の効果を期待できますが、30分を超える昼寝はその効果を低減させ、起床後も眠気で頭がぼんやりとする睡眠惰性を引き起こす可能性もあります」と、マサチューセッツ総合病院のチェンルー ガオ氏は指摘している。

 「睡眠パターンが不規則な人や、日中に長く眠っている人は、むしろ全死因による死亡のリスクが高いことが示されました」としている。

 研究グループは、大規模研究であるUKバイオバンクに参加した、43〜79歳の中高年者8万6,565人を対象に調査した。参加者に、腕時計型のデバイスを1週間装着してもらい、睡眠習慣をモニタリングした。

 その結果、昼寝時間が長いほど、また個人内の変動が大きいほど、死亡リスクは上昇することが示された。とくに、午前11時から午後1時のあいだと、午後1時から3時のあいだに長時間の昼寝をとっている人で、死亡リスクの上昇がみられた。

A Nap a Day Keeps High Blood Pressure at Bay (米国心臓病学会 2019年3月7日)
The effect of Mid-Day Sleep on blood pressure levels in patients with arterial hypertension (European Journal of Internal Medicine 2020年10月)
Napping Once or Twice Weekly Linked With Lower Risk of Heart Attack and Stroke (American Journal of Managed Care 2019年9月12日)
Association of napping with incident cardiovascular events in a prospective cohort study (Heart 2019年9月9日)
Association between napping and type 2 diabetes mellitus (Frontiers in Endocrinology 2024年3月25日)
Objectively-Assessed Napping Behaviors Predict Mortality in Middle-to-Older Aged Adults (Sleep 2025年5月19日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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