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2023年06月15日
「笑い」が糖尿病の人の血糖管理を改善 血糖値や血圧値が低下 「笑い」でストレス解消
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「笑い」は、糖尿病とともに生きる人の血糖管理を改善することが、福島県立医科大学による新たな介入研究で明らかになった。
研究グループは、体操としての笑いとヨガの呼吸法を組み合わせた「笑いヨガ」を提唱している。
笑いヨガにより、身体的・精神的な生活の質(QOL)の改善に加えて、身体機能や血糖値などの改善がみられることが示された。
「笑い」は健康に多くの効用をもたらす
「笑い」は健康にさまざまな利点をもたらすことが報告されている。「笑う門には福来る」と言われるように、笑うことは心や体に好ましい影響をもたらすことは、経験的には知られていたが、それを科学的に実証した研究が増えている。 これまで、「笑い」が血糖値や血圧値を下げたり、がん細胞やウイルスなどに対する免疫で重要な役割をになうNK細胞を活性化し、ストレスを減らし、痛みをやわらげ、認知症の予防にもつながるなど、多くの効用があることが報告されている。 「笑い」は、2型糖尿病とともに生きる人の血糖管理を改善することが、福島県立医科大学による新たな介入研究で明らかになった。 研究は、福島県立医科大学医学部疫学講座の大平哲也主任教授、広崎真弓氏らによるもの。研究成果は、「Frontiers in endocrinology」に発表された。 大平主任教授らは、笑いと体操などの有酸素運動、ヨガの呼吸法などを組み合わせた「笑いヨガ」を提唱している。 「"おもしろい"という感情がなくても、"笑う"という行為をするだけでも、メンタルヘルスだけでなく、身体的健康に良い効果があらわれます。"笑い"は特別な道具もいらない、誰もがいつでも簡単にできる健康法です」と述べている。「笑い」は糖尿病とともに生きる人の血糖管理も改善
研究グループは今回、2型糖尿病患者42人に参加してもらい、大阪大学でランダム化比較試験を実施。介入群には「笑いヨガ」のプログラムを実施した。 その結果、12週間の「笑いヨガ」により、1~2ヵ月の血糖値を反映するHbA1c値は0.31%より低下し、ポジティブ感情スコアは0.62ポイントより改善した。 HbA1c値の平均は、「笑いヨガ」の群では7.07%から6.82%に改善したが、従来の治療のみを続けた対照群では7.19%から7.26%と変わらなかった。 最近の研究では、5年間にわたりHbA1c値を7%未満に維持すると、糖尿病合併症の発症が大幅に低下することが示されている。 さらに、「笑いヨガ」に参加した群では、睡眠時間も0.4時間増え、さらに参加率も92.9%と高かった。 「12週間の笑いヨガのプログラムは、2型糖尿病の人が実行可能なものであり、血糖コントロールを改善することが示されました。楽しむことがセルフケアになる可能性があります」と、研究者は述べている。糖尿病の人は多くのストレスに苦しんでいる
「笑い」が肥満・メタボの人の体重を減らしストレスを減らす
研究グループが過去に行った研究では、笑いがもたらすポジティブな心理的効果と身体的効果が、肥満やメタボの危険因子をもつ人の体重を減らし、ストレスを減らし、幸福度や生活の質の向上させることが示されている。 研究グループは、肥満がある、血圧が高い、血糖管理の指標となるHbA1cが高い、善玉のHDLコレステロールが低い、中性脂肪値が高いなど、メタボの危険因子をもつ43~79歳の235人の参加者を対象に、12週間の「笑いヨガ」に参加してもらった。 「笑いヨガ」に参加した群は、プロの噺家による落語を鑑賞したり、笑いヨガの実践、笑いと健康に関する講義などを受けた。 その結果、「笑いヨガ」の群では、体重や体格指数(BMI)、ストレス、主観的幸福感、楽観主義、身体的パフォーマンスなどが大幅に改善した。 「笑いのプログラムにより、心理社会的なストレスを軽減し、生活の質や主観的幸福感、楽観主義など、メンタルヘルスを改善することが、メタボの危険因子をもつ人の体重を減らすのに役立つ可能性があります」と、研究者は述べている。人と人とのつながりが多いほど「笑い」は増える
福島県立医科大学医学部疫学講座の大平哲也主任教授による書籍 出版社:さくら舎 発行:2023/6/8 |
Effects of a laughter program on body weight and mental health among Japanese people with metabolic syndrome risk factors: a randomized controlled trial (BMC Geriatrics 2022年4月23日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所