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2007年01月26日
足の皮膚温度を自己測定し潰瘍を予防
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皮膚温度を赤外線で測るデジタル測定器を使い、足部の温度を自己測定する治療法により、糖尿病足病変のリスクの高い患者で潰瘍の再発が大幅に減少したという研究が海外で発表された。
この研究は、米国テキサス州ヒューストンのTexas A&M大学健康科学センターの研究者らによって発表されたもの。米医学誌「Diabetes Care」1月号に掲載された。 皮膚に傷害があると炎症が起き、皮膚の温度が上がるが、とても微妙なものなので見つけだすのは簡単ではない。 皮膚温度を毎日測定することで異常の初期徴候を発見するのに役立つかどうかを調べるため、研究チームは足部の潰瘍や感覚の消失などの既往がある18〜80歳の糖尿病患者を対象に、多施設無作為化試験をおこなった。 研究試験は15カ月続けられた。研究に参加した糖尿病患者173人に対し、医師が8週毎に足部を検査し、3群に無作為に分けられた。 最初の群の患者は、靴や中敷の調整による靴擦れや足の外傷の予防や、血糖コントロールのための指導プログラムという標準的な治療を受けた。ふたつめの群は、それに加えて1日2回、鏡を使い足に異常が起きていないかを自分で点検した。最後の群では、デジタル赤外線温度計を使い足の6ヵ所の温度を毎日測定する強化療法を行った。 参加した患者は、自分で足の検査の記録を取り、異常が起きたときに看護師に知らせるようした。強化療法群の患者では、左右の同じ部位の温度が華氏4度(摂氏では約2度)以上異なる場合は看護師に知らせることになっていた。 2つの群の患者では、新たな足部潰瘍が発現した割合が、それぞれ29.3%と30.4%とそれほど変わらなかった。しかし、強化療法群の発現率は8.5%と大幅に下がった。 研究に使われた皮膚温度測定器は、米Xilas Medical社が開発した「TempTouch」という製品で、米国食品医薬品局(FDA)により昨年、足の状態を測定する医療機器として承認された。 同社は、糖尿病患者が皮膚温度を自己測定し足の異変の初期に気が付き、適正な治療を受けることが、足潰瘍の発症や切断という事態を予防するための有効な手段になるとしている
●詳しくはXilas Medical社のサイト「TempTouch」へ(英文/画像)
●プレスリリース(英文/PDFファイル) 関連情報
足の手入れ(糖尿病セミナー)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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