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2015年07月17日
2型糖尿病患者の半数近くが治療に自信をもっていない 調査結果
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![](https://www.dm-net.co.jp/calendar/2014ima/20140313-3.jpg)
この調査は、同学会が糖尿病週間に開催した「糖尿病デー」に参加した2,722人の英国の糖尿病患者を対象に行われたもの。「糖尿病の治療が十分にできているという自信をもてない患者が多いことが示されました」と、同学会のバーバラ ヤング理事長は言う。
糖尿病ケアでは患者が自分の健康状態を管理し、糖尿病をコントロールすることが重要となる。アメリカ国立衛生研究所(NIH)の調査では、糖尿病患者がグループで受講する教育プログラムと、個別の療養指導による糖尿病マネージメントによって、糖尿病の治療を良好に行えるようになり、患者のQOL(生活の質)が向上することが示された。
しかし、英国のイングランドとウェールズで行われた調査では、糖尿病の教育プログラムへの参加が勧められる患者のうち、実際に参加した患者は16%しかいないことが判明した。
「英国の糖尿病有病者数は390万人ですが、そのうち多くの患者が糖尿病の自己管理に対し自信をもっていないと考えられます。糖尿病のマネージメントについて、専門医や療養指導士を中心としたチームが、適切な教育プログラムを提供する必要があります」と、ヤング氏は言う。
英国の国営保健サービス(NHS)が出費する医療費のうち10%が糖尿病にあてられており、そのうち80%にあたる1.5兆円(80億ポンド)は糖尿病合併症である失明、下肢切断などの医療費に使われている。
「すべての糖尿病患者が、糖尿病合併症を予防するための糖尿病教育プログラムに参加できるようにし、医療者によるサポートとアドバイスを受けられるようにするべきです」と、ヤング理事長は強調する。
「糖尿病の治療は生涯にわたり続きます。年齢を重ねるにつれ、糖尿病の治療内容も変わっていきます。個々の患者で異なるコンディションの管理を適正化するために、医療者による継続的なサポートが欠かせません。糖尿病医療をより充実できるよう、当学会は政府当局に要望を出しました」と述べている。
糖尿病網膜症は、高血糖が続くことで、眼球の一番奥にある網膜の血管が障害される合併症だ。進行すると、著しい視力低下や失明などの重い視力障害を起こすことがある。
糖尿病網膜症は、早く見つけて適切な治療を受けることが重要となる。糖尿病と診断された段階で、年に1回は眼科を受診し、眼底検査を受ける必要がある。網膜症の治療は眼科で行われるが、治療には血糖コントロールが欠かせないため、眼科医と内科医が連携して治療に取り組む。
「糖尿病を早期発見し治療をすれば、糖尿病網膜症の治療を行えるようになり、失明や視力障害を防げます。英国の多くの人が糖尿病合併症について一般的な知識をもっていないことは、予防をする上で障害になります」と、ヤング氏は言う。
糖尿病は患者自身と家族の生活を破壊するおそれのある恐ろしい病気だが、適正な管理を続ければ糖尿病患者は健康な人と同じように天寿を全うできる。英国糖尿病学会は大規模なテレビ・コマーシャルによるキャンペーンを展開し、糖尿病に関する適正な認知の拡大に努めているという。
「生活スタイルを健康的に変えていき、適正な知識をもてば、2型糖尿病の80%は予防可能か、発症を遅らせることができます。糖尿病合併症も多くを防ぐことができます。このことをより多くの人に認知してもらう必要があります」と、ヤング氏は強調している。
42% of people with Type 2 diabetes "not confident managing their condition"(Diabetes UK 2015年6月17日)
Over 40% of people unaware diabetes can lead to blindness(Diabetes UK 2015年6月5日)
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