ニュース
2013年09月13日
卵を1日1個食べても心臓病や脳卒中のリスクは上昇しない

卵はコレステロールを上げる元凶のように言われることの多い食品だが、最近の研究では、健康に有用な栄養素を多く含む食品であることが分かってきた。「1日に1個」であれば、卵を食べる便益の方が勝っているという。
卵は1日1個程度なら心臓病や脳卒中のリスクを上昇させない
卵には脂質やタンパク質に加えて、カルシウム、鉄分、ビタミンB群、アミノ酸など多くの栄養素も含まれている。必要な栄養素をまんべんなく摂取できる優れた食品だが、コレステロールが多いので、食事療法では「卵は1日に1個しか食べてはいけない」と言われることが多い。
卵(鶏卵)1個にコレステロールは250mg含まれる。血中のコレステロールを増やしやすい飽和脂肪酸は1.7g含まれる。
コレステロールは脂質の一種で、脳や神経、血管壁の細胞膜を作ったり、ホルモンの材料となる大切な栄養素だ。しかし、血液中のコレステロールが多すぎると、動脈硬化の進行が促され、血管障害や心筋梗塞、脳卒中の原因になる。
日本の治療ガイドラインでは、脂質異常症の患者では、コレステロールを多く含む食品を控える(1日300mg以下)ことが勧められている。悪玉(LDL)コレステロールの値が高い患者では、1日の摂取量は200mg以下に制限される。
ということは、卵1個を食べると、1日に必要なコレステロールをほぼとってしまうことになる。卵以外の食品からもコレステロールをとることが多いので、卵を「1日1個」食べると、それだけでコレステロールをとりすぎてしまう可能性が高い。
ところが、最近発表された国際的な研究で、卵を1日に1個以上食べても心臓病や脳卒中の発症リスクは増加しないことが明らかになった。
この研究は、中国湖北省にある華中科技大学のイン ロン氏や、ハーバード大学公衆衛生大学院のフランク フー教授らが、英医学誌「ブリティッシュ メディカル ジャーナル」に発表したものだ。
卵を含む動物性食品は、コレステロール値を上げやすい食品だ。これらの食品を食べ過ぎている人では、心臓病や脳卒中の発症が増えることは、過去に行われた研究で確かめられている。しかし、卵が本当に心臓病の発症リスクを高めるかは、よく分かっていなかった。
研究チームは、日本や米国で行われた17件の研究をメタ解析した。対象となったのは、冠状動脈性心疾患に関しては308万1,269人年、脳卒中に関しては414万8,095人年だった。
「結果として、卵を1日に1個食べても、血中のコレステロールはあまり増えないことが分かりました。高コレステロールと関連の深い心臓病などの発症も増えませんでした」と、ロン氏は話す。
関連情報
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
糖尿病合併症の関連記事
- 「孤独」や「孤立」は糖尿病・心臓病・脳卒中のリスクを高める 人とのつながりが大切
- 糖質の多い甘い飲料が糖尿病や心臓病のリスクを上昇 高カロリーの飲み物を減らす2つの方法
- 糖尿病が認知症リスクを高める 野菜を食べている人は認知症リスクが低い 中年期の生活改善によりリスク低下
- 糖尿病の人は大腸がんリスクが高い 大腸がんは50歳未満の若い人でも増加 予防に役立つ3つの食品とは?
- 大豆を食べると糖尿病リスクが低下 心臓病や脳卒中も減少 大豆タンパクは腸内細菌にも良い
- 妊娠前の健康的な生活習慣が妊娠糖尿病などのリスクを減少 健康的な習慣を1つでも増やすことが大切
- 腎不全の患者さんを透析から解放 腎臓の新しい移植医療が成功 「異種移植」とは?
- 「ラジオ体操」で糖尿病を改善 取り組みやすく続けやすい運動 フレイル対策の効果を検証
- 「温泉療法」で⾼⾎圧を改善 ストレスによる睡眠障害を緩和 冬の温泉⼊浴では注意点も
- アルコールを適量飲んでいる人は糖尿病や心臓血管病のリスクが減少 ただし少しでも飲みすぎると健康は悪化