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2010年05月31日
糖尿病の新しい診断基準を7月に施行 日本糖尿病学会
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従来の診断基準では、①早朝空腹時血糖値 126mg/dL以上、②75g糖負荷試験(OGTT)で2時間値 200mg/dL以上、③随時血糖値 200mg/dL以上―
しかし、HbA1cは採血時から過去1、2ヵ月の平均血糖値を反映する指標として有用であり、検査を行いやすいことから、今回の改訂で、上記の①〜③に「④HbA1c値」が加えられる。血糖値とHbA1cの両方が糖尿病型であれば、1回の検査でも糖尿病と診断できるようになる。これにより糖尿病の早期発見・治療の促進につながると期待されている。
新診断基準にHbA1c値が加わっても、糖尿病の診断は血糖値(①空腹時血糖値、②糖負荷試験(OGTT)、③随時血糖値のうちいずれか)とHbA1cの両方を評価するよう定められており、初回検査と別の日に行った再検査でHbA1cのみを満たすだけでは糖尿病と診断できない。
初回検査でHbA1cが高く糖尿病型と判定し、再検査でもHbA1cが高く糖尿病型と判定しても、血糖値が糖尿病型でなければ「糖尿病疑い」にとどまり、「3〜6ヵ月以内の再検査」が必要と判定する。ただし、初回検査で「血糖値のみ糖尿病型」の場合は、糖尿病の典型的な症状や確実な糖尿病網膜症のいずれかが認められる場合は糖尿病と診断できる。
なお、HbA1c値については、国内の測定法によって得られるJDS値を、欧米を中心に使われている測定法であるNGSP値に補正し表記する方針を打ち出した。検体や測定方法を変えなくとも、JDS値に0.4を足した値がNGSP値とほぼ同じであることが確かめられたという。変更は1年後をめどに行うとしている。
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