あなたはお腹がポッコリとふくらむ「リンゴ型肥満」だろうか? 近い将来に、ウェストサイズの測定や服のサイズに加えて、遺伝子検査でも2型糖尿病や心臓病のリスクが分かるようになるかもしれない。
内臓脂肪は2型糖尿病や心疾患のリスクを高める
肥満は、脂肪が体のどの部分に蓄積しているかで、「皮下脂肪型肥満」と「内臓脂肪型肥満」に分けることができる。
皮下脂肪型肥満は、皮膚と筋肉の間にある「皮下脂肪」が過剰に蓄積しているタイプの肥満で、下腹部、腰のまわり、太もも、おしりに脂肪が付くことから、「洋なし型肥満」とも呼ばれる。
一方、内臓脂肪型肥満は、腹腔内の腸に「内臓脂肪」が過剰に蓄積しているタイプの肥満で、お腹まわりの脂肪が付くことから、「リンゴ型肥満」とも呼ばれる。
この2つの肥満のうち、2型糖尿病や心臓病につながりやすい危険な肥満とされるのは、「リンゴ型肥満」だ。メタボリックシンドロームが該当するのはこのタイプだ。
43万人超のゲノム情報を解析
「リンゴ型肥満」の人は、2型糖尿病と心臓病のリスクが高まる遺伝的傾向をもつことが、43万人超のゲノム(全遺伝情報)を登録したバイオバンクで明らかになった。
米国医師会雑誌(JAMA)に発表された研究は、個人の遺伝子構成が、将来的な健康問題の発生を予測する因子となる可能性があると指摘している。
マサチューセッツ総合病院ゲノム医療部のディレクターでハーバード大学医学大学院の准教授のシカル カテリサン氏らは、これまで同定されているウエスト・ヒップ比に関連した48個の遺伝子変異にもとづくリスクスコアを開発した。
研究チームは、2007~2015年に実施された4件の研究から、英国バイオバンクに登録された43万4,140人の参加者の完全なDNAマッピングを実施。
「リンゴ型肥満」と「2型糖尿病」、「冠状動脈性心疾患」(CHD)の因果関係を遺伝子レベルではじめて解明した。
「リンゴ型肥満」は危険 リスクを遺伝子で予測
解析した結果、「リンゴ型肥満」の中高年は、そうでない人に比べ、高血圧や高コレステロール、高血糖に悩まされる危険性がはるかに高いことが判明した。
さらに、「リンゴ型肥満」にやりやすく、2型糖尿病とCHDのリスクが高い人を、遺伝子から予測することも可能だという。
「リンゴ型肥満」の人は、血糖を下げるインスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」のリスクが高く、体内のグルコースの処理が悪くなるおそれがある。
「近い将来に、腹部肥満がどれだけ蓄積しているかを調べ、それに遺伝的要因のDNAをマッピングして調べることで、2型糖尿病やCHDのリスクをより正確に知ることができるようになる可能性があります」と、カテリサン氏は言う。
「リンゴ型肥満は体の老化を早めることも分かりました。体重をはかるとともに、ウェストサイズもはかり、体の脂肪の付き方をチェックすることが重要ですが、心配な人は健康診査を毎年受けて、体の状態を知っておくことが必要です」と、カテリサン氏は指摘している。
Gene variants associated with body shape increase risk of heart disease, type 2 diabetes(マサチューセッツ総合病院 2017年2月14日)
Genetic Association of Waist-to-Hip Ratio With Cardiometabolic Traits, Type 2 Diabetes, and Coronary Heart Disease(JAMA 2017年2月14日)
[ Terahata ]