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2022年09月20日

老化を前向きにとらえている人は健康で長生き 何歳になってもアクティブな生活を

老化を前向きに捉えている人は健康で長生き――AHAニュース

 エイジング(老化)に対する考え方が、健康に影響を及ぼす可能性を示唆する研究報告が増えてきた。老化を肯定的に捉えている人は否定的に捉えている人よりも、健康で長生きするのではないかとする論文が、過去20年間で複数発表されている。

 今年2月にも「JAMA Network Open」に、全米の50歳以上の約1万4,000人を対象として、老化を前向きに考えることと身体的な健康、健康につながる行動、心理的幸福との関係を調査した結果が掲載された。

 その結果は、老化に対する満足度がもっとも高い人は、満足度がもっとも低い人に比べて、4年間の追跡期間中の全死亡リスクが43%低いというものだった。

 また、老化に対する満足度が高い人は、糖尿病、脳卒中、がん、心臓病などの慢性疾患のリスクが低く、認知機能も優れていて、身体活動量が多い傾向にあり、睡眠障害は少なかった。さらに、そのような人は仲間が多く、楽観的で、より強い目的意識をもっていた。

 この論文の上席著者であり、ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)と米ハーバードT. H.チャン公衆衛生大学院に所属しているEric Kim氏は、「老化の捉え方と健康行動は両方向性の関係にある」と説明する。

 たとえば以前に「Preventive Medicine」に掲載された、同氏らによる別の研究では、50歳以上で自分の老化に満足している人は健診受診率が高いことが示されたという。

 それとは反対に、「老化によって健康が害されることは避けられないと考えている人は、老化を抑制する行動を取ろうとしない傾向も浮かび上がった」とのことだ。

 一方、老化の捉え方と健康や幸福感との関連を研究している、米アリゾナ州立大学のHannah Giasson氏は、「人々の老化の捉え方は不変ではなく、変化することがある。これは、現時点で老化を否定的に考えている人にとっては朗報と言える」と述べている。

 Kim氏とGiasson氏は、老化を前向きに捉えるために、以下のようにアドバイスしている。

目的意識をもち続ける

 「退職後に何をしたら良いか分からない」という人がいるが、そのような場合には、価値観に合った何らかの計画を立てることをKim氏は提案する。

 「人生の目的は人それぞれだ。家族の優先度が高い人は孫の世話を手伝うなど、家族に貢献できることを見つけてほしい。環境問題に関心があるのなら、環境保全活動に参加すると良い。ボランティア活動は、目的意識をもち続けるという点でも素晴らしい方法だ」と同氏は語る。

老化に対するネガティブな考え方を取り払う

 老化に対する否定的な観念は、人の生涯にわたって内面化され、歳をとるにつれて身体的、精神的な健康に害を及ぼす可能性が高まる。Giasson氏は、「そのようなネガティブな考え方の潜在的リスクを理解して、それを取り払う必要がある」と話す。

 「高齢になったら身体的不調は避けられないから、アクティブな生活をおくろうとしても無駄だ」と考える人がいるかもしれない。しかし、米国立老化研究所によると、運動は心血管疾患、高血圧、2型糖尿病のリスクを低下させ、睡眠を改善し、転倒のリスクを抑制する可能性がある。

 「健康的な行動を実践することは、何歳であっても健康増進に役立つということを認識してほしい」と同氏は述べている。

社会的な絆を維持する

 歳を重ねるにつれて、配偶者、家族、友人などの愛する人を失う可能性が増す。その結果、社会的に孤立してしまうと、身体的および精神的健康が損なわれ、心臓発作や脳卒中のリスクが高まり、さらに人生の満足度が低下したり、日常生活が困難になることがある。

 それに対して、社会的なつながりを維持することが、健康に良い影響を与える可能性が示されている。そのための具体的な方法としてKim氏は、「失ったものを、何か新しいものに置き換えることが重要だ。たとえば、地域のコミュニティーに参加して友人を増やしたり、かつての仲間に会いに行くといったことだ」と解説する。

何歳からでも新しいことに挑戦

 人は齢とともに運動能力が低下し、若い頃に喜びを感じていた活動に参加できなくなることがある。そのような加齢による変化への対処としてGiasson氏は、「身体的な負担の少ない新しいことを学ぶと良い」と提案する。

 ある研究によると、新しいスキルを習得した高齢者は、記憶力、自尊心、そして生活の質(QOL)が向上することが示された。「新しいことに挑戦するのに遅すぎるということはない。また、新しい興味の対象を追求するのにも年齢は関係ない」と同氏は語っている。

[American Heart Association News 2022年8月19日]

参考情報 1 2 3 4

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Photo Credit: Hispanolistic/E+ via Getty Images

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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