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2021年07月28日

糖尿病はアルツハイマー病の危険因子 脳を活性化して予防 新しいことにもチャレンジ

 脳を活性化する知的な活動に取り組むと、認知力を向上でき、アルツハイマー型認知症の発症を遅らせられるという研究が発表された。
 アルツハイマー症を治す治療法はみつかっていない。そのため、40~50歳のうちから予防に取り組むことが大切だ。
 「健康的な食事をとり、運動を習慣として行い、健康的な体重を維持することが重要です」「新しいことにチャレンジすることも必要」と、研究者はアドバイスしている。
糖尿病はアルツハイマー病発症の危険因子
 アルツハイマー型認知症は、認知症のなかでもっとも多く、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症だ。症状はもの忘れで発症することが多く、ゆっくりと進行することが多い。

 アルツハイマー型認知症を完全に治す治療法はまだない。そのため、できるだけ症状を軽くして、進行の速度を遅らせることが現在の治療目標となる。

 2型糖尿病はアルツハイマー病発症の危険因子であることは広く知られている。糖尿病の人が良好な血糖コントロールを維持できないでいると、血糖を下げるインスリンの脳の細胞への働きがけが不足したり、インスリンが効きにくくなるインスリン抵抗性が起こると考えられている。

 一方で、脳を活性化する活動に取り組むと、認知力を向上でき、アルツハイマー型認知症の発症を最大で5年遅らせられる可能があるという研究を、米国神経学会(AAN)が発表した。

 「アルツハイマー型認知症の発症を遅らせるために、脳を活性化する活動が必要です。こうした行動を始めるのが遅すぎるということはなく、80代であっても有益である可能性があります」と、米ラッシュ大学医療センター神経科学部のロバート ウィルソン教授は言う。

 年齢を重ねても脳を若く保っている人には、次のような共通する生活スタイルがあるという。どれも簡単に実行できることだ――。
 ▼運動を習慣として続ける、▼健康的な食事、▼社会的な活動をする、▼知的な活動をする、▼リラックスする時間を作る。
80歳の高齢者1,978人を7年間調査
 米国立老化研究所(NIA)の支援を得て行われたこの研究では、研究の開始時に認知症と診断されていなかった平均年齢80歳の高齢者1,978人を対象に実験が行われた。

 研究グループは、参加者を平均7年間追跡して、認知テストを含む検査を毎年受けてもらい、認知症の発症について確認した。小児期、成人期、中年期の知的活動への参加についても質問した。

 調査開始時に、参加者を7つの活動への参加を5段階で評価した。質問には「運動をする」「ダンスをする」「手紙を書く」「カードゲームやパズルをする」「読書やインターネットで知識を増やす」「語学や数学などを学習する」「新しい楽器に挑戦してみる」「アートを制作してみる」といったことも含まれていた。

 それぞれの知的な活動を行っている頻度に応じてスコア化し、「年に1回以下」をスコア1、「毎日、ほぼ毎日」をスコア5と評価した。知的な活動の多いグループのスコアの平均は4.0、少ないグループの平均は2.1だった。
知的活動のレベルが高い人はアルツハイマー症になりにくい
 期間中に、457人がアルツハイマー型認知症と診断されたが、知的活動のレベルがもっとも低い人は平均して89歳で発症し、もっとも高い人は94歳で発症したことが分かった。認知症の発症に5年の差があることが明らかになった。

 「アルツハイマー型認知症の発症に、人生の後半でどのような活動に取り組んでいたかが大きく影響している可能性があります。脳の認知能力を刺激する活動を多く行った人は、認知症を発症する年齢を遅らせることができる可能性があります」と、ウィルソン教授は述べている。

 「脳の老化を防ぐための、健康的な生活スタイルを維持するための行動は、とくに中年期で重要です。新しいことにチャレンジすることを恐れないということも大切です」と指摘している。

 「人生には環境が大きく変わり、変化への順応に手間どることがあります。そうしたときにも、新しいことにチャレンジすることが、脳の活性化につながります。このことは40~50歳の若い人にもあてはまることです」としている。
肥満とやせもアルツハイマー病の危険因子
 オハイオ州立大学の別の研究によると、中年期の肥満は、年齢を重ねてからのアルツハイマー病の発症リスクの上昇に関連している。

 研究グループは、認知症の一歩手前の状態である「軽度認知障害(MCI)」と診断されたグループを2つのグループに分けて比較した。半分のグループは24ヵ月でアルツハイマー病を発症し、半分は状態が悪化しなかった。

 解析した結果、体格指数(BMI)が低く肥満と判定されなかったグループで、アルツハイマー病のリスクは低かったが、BMIが高い肥満のグループと、BMIが低いやせのグループの両方で、遺伝的リスクが高いことが明らかになった。この傾向は女性よりも男性で強くみられた。

 BMIが低いやせた人でも、アルツハイマー病のリスクは上昇することが示された。研究者は、BMIの低下は、アルツハイマー病の特徴である脳の進行性損傷である神経変性を促進するのではないかと推測している。
食事・運動・脳を刺激する活動で予防
 「健康的な食事をとり、運動を習慣として行い、健康的な体重を維持することは、炎症と酸化ストレスを抑えるために非常に重要です」と、オハイオ州立大学心理学部の上級研究員であるジャスミート ヘイズ氏は述べている。

 「不健康な生活スタイルは修正可能な危険因子です。あなたの人生を改善し、神経変性のプロセスを防ぐのを助けることは、あなた自身の工夫と取り組みにより実行可能です」と指摘している。

 「アルツハイマー病の発症では、遺伝的リスクについて解明することは重要ですが、それだけではアルツハイマー病のリスクの一部しか説明できません。それ以外の、健康的な生活スタイルなどの、コントロール可能な他の要因について調べる必要もあります」と、ヘイズ氏は言う。

 「アルツハイマー病の症状があらわれる前に、発症リスクの高い人を特定できれば、食事や運動、脳を刺激する活動などの生活スタイルの改善による介入と予防を行い、アルツハイマー病の進行を遅らせたり、完全に防ぐことができるようになる可能性があります」としている。

Think about this: Keeping your brain active may delay Alzheimer's dementia 5 years(米国神経学会 2021年7月14日)
Cognitive Activity and Onset Age of Incident Alzheimer Disease Dementia(Neurology 2021年7月14日)
A complex link between body mass index and Alzheimer's: Study finds combined genetic risk, lower BMI predict disease progression(オハイオ州立大学 2021年5月19日)
Body Mass Index and Polygenic Risk for Alzheimer's Disease Predict Conversion to Alzheimer's Disease(Journals of Gerontology: Series A 2021年4月21日)

みんなのメンタルヘルス総合サイト(厚生労働省)
働く人のメンタルヘルス ポータルサイト「こころの耳」(厚生労働省)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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