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2012年05月25日
慢性腎臓病(CKD)をビデオで啓発 検査を受けて予防
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- 糖尿病合併症

CKD啓発動画研究会は慢性腎臓病(CKD)を啓発するビデオを制作した。
慢性腎臓病(CKD)は、慢性的な腎臓の機能低下が長期にわたり進行している状態をさす。透析の危険性を高めるだけでなく、心筋梗塞や脳卒中などの危険因子でもある。日本での推定患者数は1300万人超、有病率は8人に1人に相当し、新たな‘国民病’として注目されつつある。
CKDは早期発見すればこわくない
CKDは年々増加しているものの認知度は低い。自治医大学腎臓内科の安藤康宏教授らは、昨年3月に横浜と宇都宮でそれぞれ300人前後に街頭アンケート調査を実施した。得られたのは「メタボ」という言葉の単純認知度が90%前後に対して、「CKD」という言葉の単純認知度は4%というショッキングな結果だった。
そこで、安藤教授らがよびかけ、腎臓専門医らと2011年9月「CKD啓発動画研究会」を設立、早期発見などを訴える動画をつくりインターネット上で配信を始めた。パソコンや携帯電話、スマートホンなどで気軽に見ることができる。

安藤教授は「有病率は40代から増えていくが、10〜20代から認知しておくと、将来の発症予防や治療につながる。若い世代にも広く知ってほしい」と期待をこめる。
検査で早期発見・治療すれば腎不全を予防できる
慢性腎臓病(CKD)は、高血圧や糖尿病、メタボリックシンドロームと関連が深い病気だ。腎臓は体を正常な状態に保つ重要な役割を担っているため、腎臓の機能が低下し続けることで、さまざまなリスクが発生する。
腎臓病は初期には自覚症状がほとんどないが、腎臓が一度悪くなってしまうと自然に治ることはなく、適正な治療を行わないと、どんどん進行するおそれがある。そのため医療機関を受診し、定期的に検査を受けることが重要になる。
できるだけ早いうちに発見して治療を行うと、進行が抑えられて腎不全や心血管疾患の発症率が低下する。検査は「血液検査」と「尿検査」が行われる。
クレアチニン検査
血液検査では血中の「クレアチニン」という老廃物の値を調べる。クレアチニンは主に筋肉の中でつくられ、不要になると糸球体でろ過されて尿として排出される。腎機能が低下すると、クレアチニンがろ過されず、血液中に残る。血液検査でのクレアチニンの値を基に「糸球体ろ過値(GFR値)」を推定することができる。糸球体ろ過値とは糸球体が1分間にろ過できる血液の量のことで、腎機能の程度を示す指標になる。
クレアチニン検査は特定健康診査の項目に含まれないことが多く、自覚症状もほとんどないため診断が遅れがちだという。
クレアチニン検査は特定健康診査の項目に含まれないことが多く、自覚症状もほとんどないため診断が遅れがちだという。
検査結果の項目に推定GFR値が書かれていない場合は、日本慢性腎臓病対策協議会のホームページなどに自動換算機能が設けられている。血清クレアチニン値、年齢、性別を入力すると、推定GFR値を知ることができる。
微量アルブミン検査
尿検査では主に、尿中に現れるタンパク量を調べる。腎臓の「糸球体」では、毛細血管が血液をろ過する「膜」の働きをしている。「タンパク質」は体にとって重要な栄養素のため、本来は尿に出ることはない。しかし、何らかの原因によって「膜」の目が緩んだり壊れかかったりすると、糸球体からタンパクが漏れでて尿中に現れる。
早期の腎症を発見するためには、微量アルブミン検査が有効だ。この検査は、非常に微量のタンパク(アルブミン)を、感度のよい方法で尿から見出だす比較的新しい検査方法。検査を受ける人にとっては、一般の尿検査の方法と変わらない。
早期の腎症を発見するためには、微量アルブミン検査が有効だ。この検査は、非常に微量のタンパク(アルブミン)を、感度のよい方法で尿から見出だす比較的新しい検査方法。検査を受ける人にとっては、一般の尿検査の方法と変わらない。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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