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2012年04月18日
ジェネリック医薬品は普通の薬と何が違うのか 糖尿病の後発医薬品
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- 医薬品/インスリン

新薬の開発には、9年〜17年にもわたる歳月と1品目300億円以上の投資が必要といわれる。このため先発医薬品には、長年の商品開発の対価として、20〜25年の特許期間が設けられており、類似品が作られないよう法律で保護されている。研究開発にかかるコストは薬の価格に反映されている。
一方、先発医薬品と同じ有効成分を使って製造されるジェネリック医薬品の場合、すでに先発医薬品で有効性や安全性が臨床試験などで確かめられているため、開発期間や経費を大幅に抑えることができる。さらに、薬としての承認の手続きも先発医薬品に比べて簡素化されており、その分、薬の価格も安く設定することができる。
例えばスルホニル尿素(SU)薬に分類される「グリメピリド」(一般名)の場合、1日3mgを服用している人の場合では、1年間(365日)の薬剤費は新薬の場合は1万6,000円程度。これをジェネリック医薬品に代えると6,000円以上安くなる。糖尿病以外に高血圧や高脂血症などの薬を服用し、ジェネリック医薬品がある場合は、すべてをジェネリック医薬品に代えると医療費にかなりの差が出てくる。
1つの新薬の特許が切れれば、各製薬メーカーから一斉にジェネリック医薬品が製造・販売されることになる。米国や英国では、医師が処方する薬のうち、ジェネリック医薬品が占める割合は約半数にも達しているという。
日本では多くの場合、処方せんには先発医薬品の商品名が記載される。しかし、その薬に替わるジェネリック医薬品があり、医師が処方せんにジェネリック医薬品への変更不可のチェックを入れていない場合、調剤をしてもらうときに患者自らがジェネリック医薬品を希望することができる。
ただし、注意となければならないのは、患者が調剤薬局の窓口で負担する金額は、薬そのものの価格(薬剤料)の3割(70歳以上は1割)のほか、調剤料などが必要になること。調剤料はジェネリック医薬品と先発医薬品とで異なるため、価格が高めのジェネリック医薬品にした場合、患者の窓口での負担は、先発医薬品を使用したときとあまり変わらない場合もある。
ジェネリック医薬品の価格については、調剤薬局で薬剤師に確認することが必要だ。糖尿病の後発医薬品の一覧は下記サイトで確認できる。

その一環として、厚労省は2006年、08年と相次いで処方せん様式を変更し、ジェネリック医薬品を選びやすいようにした。2012年の診療報酬改定では、薬局で後発医薬品を調剤しやすくするため、医師が後発品がある医薬品について一般名処方を行った場合の評価が新設された。
とはいうものの、日本におけるジェネリック医薬品の数量シェアは2011年9月時点で22.8%に過ぎず、欧米に比べて普及は進んでいない。その後も使用促進に向けて、各種取り組みを行っているものの、ジェネリック医薬品の使用割合はそれほど増えていないのが実情のようだ。
その理由の1つとして、医師や薬剤師など医療関係者の間で、ジェネリック医薬品に関する品質、安定供給、情報提供体制等について、十分な信頼が得られていないことが挙げられる。
実際に、1995年3月以前に承認申請された医薬品は、後発、先発を問わず溶出試験は義務づけられていなかったため、かつては先発医薬品とジェネリック医薬品とで溶け具合が異なるケースもあった。
ジェネリック医薬品の品質などに対する不安の声はいぜんとして多く、中央社会保険医療協議会(中医協)の「後発医薬品の使用状況調査(2011年度調査)」によると、「医師が後発医薬品の処方を進めるために、どのような対応が必要か?」との質問に対し、「品質保証が十分であることの周知徹底」を求める回答がもっとも多いとの結果が示された。
そこで厚生労働省は、後発医薬品への疑問に対する当省としての科学的見解をまとめた「ジェネリック医薬品への疑問に答えます 〜ジェネリック医薬品Q&A〜」を作成した。
実際に承認されている医薬品のデータの検証を実施したところ、先発医薬品とジェネリック医薬品の血中濃度にはほとんど差がありませんでした。
しかしながら、有効成分が完全に溶解した注射剤で、血管内に投与するものについては、血中濃度の推移を変化させる要因がそもそも存在しないため、生物学的同等性試験を行う必要はありません。
ジェネリック医薬品(後発医薬品)の使用促進について(厚生労働省)
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