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2006年08月02日

糖尿病からみた医療制度改革 (2) 都道府県の重い役割

キーワード
保険者協議会と地域・職域連携推進協議会

 今年6月に医療制度改革関連法が公布され、都道府県の責任は従来にも増して重くなった。医療計画や医療費適正化計画を作成し、実際に行うのは都道府県だ。

 都道府県は国が示す目標値などを基に、地域の現状をよくみて健康増進計画を策定し、独自の目標値を設定する。目標達成のために、医療保険者や市町村といった関係者の役割分担を明確にし、それらの連携を促進していく総合的な調整機能を果たさなければならない

 そこで、2つの組織が国の支援により設けられることになる。ひとつが「保険者協議会」、もうひとつが「地域・職域連携推進協議会」だ。

 保険者協議会は、各保険者間の調整を行う。健診・保健指導が医療保険者(市町村)の義務となることから、各医療保険者が地域や職域の枠を超えて連携・協力することが必要となる。地域の課題や特性に応じて、生活習慣病予防のための健康教育、健康指導などの保健事業を効果的に実施することを目指している

 地域・職域連携推進協議会は、都道府県ごとに設置される。都道府県の総合的な調整の下で、医療保険者、市町村などの関係者が、具体的施策に即したそれぞれの役割分担や連携方策について協議する場となる。

 2008年度からの実施を目指し、都道府県で準備事業が行われている。

メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)に着目した生活習慣病の一次予防、二次予防の流れ

 今回の医療制度改革により、都道府県はすべて、健康増進計画に位置づけられた目標項目を示すことが義務付けられる。国が提示した項目に加えて、それぞれの地域の実情に合わせて、独自の目標項目を設けることになっている。

 国は上の図のような流れの中で、生活習慣病の発症リスクの高い人を早期にみつけて、適確な保健指導をすることで、発症や病気の進行をくいとめられると考えている。そのため、健診や保健指導の一連の流れのなかで目標や指標をそれぞれ示している。

 生活習慣病の改善にむけた指導としては、脂肪エネルギー比、野菜摂取量、日常生活における歩数、運動習慣のある人の割合、睡眠による休養が十分にとれていない人の割合などを重視し調査する

 発症リスクの高い境界領域では、生活習慣病の有病者や予備群の数、肥満度を腹囲径(ウエストサイズ)やBMI(肥満指数)、血圧値、血糖値(HbA1c)、脂質(中性脂肪、高比重リポ蛋白(HDL)など)などを検査し、必要な人に適確な保健指導をできるようにする。

 糖尿病などの生活習慣病を発症した人では、合併症を予防するために、虚血性心疾患の受療率、脳血管疾患の受療率、糖尿病による視覚障害の発症率、糖尿病による人工透析の新規導入率、虚血性心疾患の死亡率、脳血管疾患の死亡率などを調べ、それぞれ改善するようにはたらきかける

医療制度改革法のポイント
  • 生活習慣病対策や入院日数の短縮などで医療費抑制。
  • 窓口負担を、現役並みの所得がある70歳以上は2割から3割に、一般的な所得の70-74歳は1割から2割に引き上げ。
  • 40歳以上の人への健康診断の実施を、健康保険組合などに義務付ける。検診後の保健指導も義務化。
  • 政府管掌健康保険の運営が、全国単位から都道府県別に変わる。
  • 療養病床の70歳以上の患者は食費、居住費を全額自己負担に。
  • 75歳以上だけが入る「高齢者医療制度」を創設。全員が保険料を負担する。
  • 受けられる検査や手術、設備など、医療機関が広告できる事項を拡大。
  • 「社会医療法人制度」を創設し、小児救急、へき地医療の核に。

●詳細は厚生労働省のサイトへ
 「平成18年度医療制度改革関連資料」

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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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