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2006年08月02日

糖尿病からみた医療制度改革 (1) 生活習慣病予防に重点

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6月に医療制度改革法が公布された。糖尿病の予防や療養に焦点をあて、医療や患者の生活がどのように変わるかをまとめてみた。

「治療中心」の医療から「予防重視」へ

 糖尿病などの生活習慣病は、国民医療費の約3割、死因全体の約6割を占める。生活習慣病の予防対策が急務であり、今回の医療制度改革では、生活習慣病の患者や予備軍を2015年度までに25%減らすことが目標に掲げられた。

 そこで、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に照準を合わせ、食事や運動などの生活習慣の改善と、予備群や有病者に保健指導を徹底して実施することで、糖尿病合併症や心筋梗塞、脳梗塞などの発症を予防していこうと考えられている。

 メタボリックシンドロームに関連する問診、身体計測、血圧、血糖値・コレステロールなどの血液検査、肝機能検査、腎機能検査などの健診項目については、現状は老人保健事業として実施されているが、医療保険者(市町村)が義務として実施する方向性が打ち出された。

 健診結果に基づいて予備群や有病者などを把握するとともに、検診後の保健指導も義務化される。検査で治療が必要と判定された人に医療機関での受診を勧めるほか、食生活や運動などについての情報を提供をし、生活習慣の改善を促すことが求められている


内臓脂肪の蓄積に、インスリン抵抗性、高血糖、高脂血症、高血圧などが重なると、動脈硬化が加速度的に進行し、心血管病の危険性が著しく高くなるというのがメタボリックシンドロームの考え方。

メタボリックシンドロームの予備群や有病者を早い段階で発見し、リスクの高い人には検診後に保健指導を行うことで、生活習慣病の予防をはかろうとしている。


メタボリックシンドロームの全国調査を実施

 2002年に健康増進法が制定され、市町村に健康増進計画策定が努力義務として位置づけられ、糖尿病などの生活習慣病の患者や予備群に対する保健指導は義務化された。これを受けて、都道府県や自治体では、糖尿病などの生活習慣病予防に向けたいろいろな施策が進められている。

 今回の医療制度改革では、国は都道府県の健康増進計画を支援する方策を決めた。その中のひとつが厚生労働省健康局の生活習慣病対策室が作成した「都道府県健康・栄養調査マニュアル」だ。

 マニュアルでは、健康・栄養調査において把握するべき項目として、メタボリックシンドロームが重視されている。平成18年国民健康・栄養調査では、メタボリックシンドロームの全国の傾向を把握するための調査が行われることが決まり、調査項目の設定として下記が盛り込まれた。

(1) メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)該当者・予備群数に関する項目
・ 腹囲(計測)
・ 血圧測定
・ 血液検査(HDL-コレステロール、HbA1c)
・薬剤服用状況(問診)
※早朝空腹時の検査は困難な場合が多いので、早朝空腹時の中性脂肪値と血糖値を検査項目に含めない。

(2) 健診受診率、保健指導利用率、医療機関受診率、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の概念の認知度に関する項目(質問紙)
・ 健診受診率
・ 保健指導利用率
・ 医療機関受診率
・ メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の概念を知っている者の割合

(3) 生活習慣に関連する項目
・ 運動習慣(問診)
・ 1日の運動量(歩数計を用いて計測)
・ 野菜摂取量、脂肪エネルギー比率等(栄養摂取状況調査)
・ 睡眠に関する項目、飲酒習慣、喫煙習慣(質問紙)

(4) その他必要な項目
・ BMI(身長、体重)(計測)

「都道府県健康・栄養調査マニュアル」より

» 「糖尿病からみた医療制度改革 (2) 都道府県の重い役割」へ続く

関連情報
来年4月からスタートする新しい健診・保健指導 1
来年4月からスタートする新しい健診・保健指導 2

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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