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2017年11月27日
糖尿病とウォーキング 少し歩いただけでも健康効果を得られる
推奨以下のレベルのウォーキングであっても、習慣として続ければ、死亡率が低下し、健康に生きるために役立つことが、米国がん学会が実施した14万人対象の研究で明らかになった。
「ウォーキングは自由に、簡単に行える、もっとも実践的な運動です。もっともリスクが高いのは、運動をまったく行わないことです。時間がないので運動できないという言い訳は通用しません」と、研究者は述べている。
「ウォーキングは自由に、簡単に行える、もっとも実践的な運動です。もっともリスクが高いのは、運動をまったく行わないことです。時間がないので運動できないという言い訳は通用しません」と、研究者は述べている。
推奨よりも少ない量のウォーキングでも効果がある
ウォーキングは、もっとも広く行われている運動であり、2型糖尿病、心臓病、がんなどのリスクを低下させることが、過去の研究で明らかになっている。
米国がん学会は、中強度の運動を週に150分、あるいは活発な運動を週に75分行うことを奨励している。
中強度の運動とは時速4.8km程度のウォーキングに相当し、活発な運動とは心拍数が上昇し、呼吸が速くなり、うっすらと汗をかく程度の運動に相当する。
しかし、米国健康・栄養調査によると、成人の半数は最小限の運動しかしておらず、65~74歳の高齢者では運動習慣のある人は42%しかいない。
米国では2030年までに65歳以上の高齢者が2倍に増えることが予想されている。そうした人々のすべてに、運動ガイドラインが推奨する運動量をこなしてもらうのは難しい。
しかし新しい研究で、推奨よりも少ない運動量であっても、健康と長寿に十分に役立つことが明らかになった。
ウォーキングが死亡リスクを20%低下させる
発表されたのは、米国がん学会が実施しているコホート研究「がん予防研究-3」(CPS-3)に参加している13万9,255人(男性 6万2,178人、女性 7万7,077人)を対象とした研究の成果だ。
参加者のおよそ95%は、なんらかのウォーキングをしていた。また、半数の人はウォーキングが中強度から活発な運動の唯一の手段であると回答し、男性の5.8%、女性の6.6%はそうした運動をまったく行っていない回答した。
1999〜2012年の13年間の追跡期間中に、男性2万4,688人、女性1万8,933人が死亡した。
週に2時間未満のウォーキングを行っている群と比べると、まったく運動をししない群では、死亡リスクが26%上昇した。
さらに、対照群の2倍にあたる週に2.5~5時間のウォーキングをしていた群では、全死亡のリスクが20%低下した。
調査では、ガイドラインで推奨されているレベルを下回るウォーキングであっても、死亡リスクを低下できることが判明した。
ウォーキングを習慣として行うことで、心疾患による死亡リスクが20%低下し、がんによる死亡リスクが9%低下することが判明した。
ウォーキングの効果がもっとも高いのは、肺炎やインフルエンザなど、呼吸器に関連する疾患の死亡リスクだった。高齢の人が週に6時間のウォーキングをすることで、そうした疾患による死亡リスクは35%低下した。
ウォーキングは、自由で、シンプルな運動
「時間がない」という言い訳は通用しない
「時間がないので、運動ができない」という言い訳はもう通用しない。できる範囲内で、生活の中で時間をみつけ、運動をすることを習慣化することが、病気のリスクを減らし、医療費を減らすことにつながる。ウォーキングの時間は1分延ばしただけでも効果を得られる。
ハーバード大学医学大学院の研究によると、週に2.5時間、つまり1日20分とちょっと歩くだけで、心疾患のリスクを30%低下できるという。ウォーキングなどの運動は2型糖尿病やがん、高血圧や高コレステロールのリスクも低下させ、認知症の予防にも効果的という報告もある。
活発なウォーキングを習慣としている女性は、肥満のリスクを5%低下できることも判明した。ウォーキングを習慣化することで、年間に11兆円(1,000億ドル)以上の医療費を削減できるという試算も行われている。
ウォーキングはストレス解消にも役立つ うつを軽減する効果も
ウォーキングはストレス解消にも役立ち、気分を明るくする作用もある。ウォーキングなどの運動をすることで、うつ症状を軽減できることが多くの研究で確かめられている。ウォーキングをすることで緊張が和らぎ、脳内で働く神経伝達物質のひとつである「エンドルフィン」の分泌も高める。鎮痛効果や気分の高揚・幸福感などが得られやすくなる。
ウォーキングがコミュニティのつながりを強めるという報告もある。多くの人が通りを歩くことで、近隣の犯罪率が低下し、地域経済が活性化するこどか社会学の研究で確かめられている。ウォーキングは、新しい人との出会いを生み、近隣の人々と交流するために手段にもなる。
夕食後に家族といっしょに外を歩いてみよう。子供たちと話すことで、コミュニケーションを促進し、家庭内の問題を軽減し、子供の発育にも好ましい影響があらわれる。
Walking in Relation to Mortality in a Large Prospective Cohort of Older U.S. Adults(American Journal of Preventive Medicine 2017年10月11日)Study: Even a Little Walking May Help You Live Longer(米国がん学会 2017年10月19日)
Walking for Health(ハーバード大学医学大学院 2017年10月24日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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