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2017年10月10日
運動時間を10分増やしただけでも寿命を延ばせる 通勤や家事でもOK
通勤時のウォーキングや階段昇降、家の掃除、洗濯物干、ガーデニングなどの生活活動であっても、積み重ねれば寿命を延ばすことを期待できるという研究が発表された。
徒歩通勤や家の清掃でも効果がある
運動が良いと分かっていても、時間をみつけるのは難しい。そんな人には嬉しいニュースだ。
運動や生活活動をする時間を1日に10分増やしただけで、その頻度が高ければ、健康を大幅に改善できるという研究が発表された。
体が慣れてきたら、1日に合計30分の運動や生活活動を週5日行うことを目標にすると良い。この量の運動をすることで、世界の12人に1人の死を防ぐことができるという。
運動はウォーキングやランニングなどの心拍数を上げるものだけではない。カナダのサイモンフレーザー大学などの研究チームによると「全体としてみると、1日に活動的である時間が多いほど、死亡や心血管疾患のリスクが低下する」という。
散歩、階段の上り下り、自転車に乗ること、家の掃除、物の運搬や荷物の積み下ろし、ガーデニング、活発に体を動かして子どもと遊ぶこと、高齢者の介護などは、中強度以上の「生活活動」になる。
「週750分のより活発な運動や身体活動は、さらに死亡率の低減につながる」という。この研究は医学誌「ランセット」に発表された。
わずか10分の運動でも効果はある
研究チームは、17ヵ国の13万人を対象に、「都市郊外に住む人のための前向き疫学研究」(PURE研究)を実施。この研究により「運動や生活活動が、死亡および心血管疾患リスクの低下に関連付けらることを世界的な規模で確認できた」としている。
サイモンフレーザー大学のスコット リア教授(健康科学部)は、「週の大半の日に30分歩くだけでも、実質的な利益があることが分かりました。それが無理な場合はわずか10分の運動でも効果はあります。もっとも懸念すべきなのは、まったく運動しないことです」と説明する。
調査では、富裕国および貧困国の都市と地方の35〜70歳の人を対象に、約7年間の追跡調査が行われた。研究者らは心臓発作、脳卒中、心不全を起こした人の数を調べ、それぞれの身体活動レベルと比較した。
その結果、調査対象者の出身国や運動の種類は、リスク低下の度合いと相関関係にはないことが分かった。またウォーキングなどの運動と、毎日の通勤あるいは家事の一部として行われた生活活動との間にも差はなかった。
つまり通勤時のウォーキングや掃除、台所仕事、洗濯物干しなどの生活活動であっても、積み重ねれば寿命を延ばすことを期待できるということだ。
ジムだろうと日常生活だろうと運動は命を救う
WHOの運動ガイドラインは世界共通
低〜中所得の国々でも、心疾患は医療費の負担の増大につながっている。ウォーキングなどの運動は費用もかからず、世界中で行える効果的でインパクトの大きい対策となる。
これらの国々のすべての人々が週当たり150分間の運動を行えば、7年間で8%の死亡数を減らせる可能性がある。
世界保健機関(WHO)の運動ガイドラインでは次のことを推奨している。先進国でも低〜中所得の国でも共通して勧められることだ。
18~64歳の成人
- 1週間で150分の中強度の有酸素運動、もしくは75分の高強度の有酸素運動。あるいは中強度と強強度の運動を組み合わせた運動をする。
- さらに健康効果を上げたい場合は、中強度の有酸素運動を1週間で300分、もしくは高強度の有酸素運動を150分行う。
- 筋力を高めるために、筋力トレーニングを週に2日行う。
- 加齢や運動不足に伴う筋萎縮やバランス能力の低下を防ぐために、週に3日以上、活発な運動をする。
- 1週間で150分の中強度の有酸素運動、もしくは75分の高強度の有酸素運動。あるいは中強度と強強度の運動を組み合わせた運動をする。
- さらに健康効果を上げたい場合は、中強度の有酸素運動を1週間で300分行う。
- 筋力を高めるために、筋力トレーニングを週に2日行う。
Being active saves lives whether a gym workout, walking to work or washing the floor(マックマスター大学 2017年9月22日)
The effect of physical activity on mortality and cardiovascular disease in 130 000 people from 17 high-income, middle-income, and low-income countries: the PURE study(ランセット 2017年9月21日)
Physical activity(世界保健機関 2017年2月)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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