ニュース
2015年11月26日
ウォーキングはジムに通うよりも効果的 体重を減らしお腹を引き締める
- キーワード
- 運動療法

この研究は、社会科学を主な対象とする英国の研究機関「ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス」によるものだ。研究チームは運動と健康の関連について、費用対効果の観点から研究している。
研究チームは1999~2012年に行われた英国健康・栄養調査に参加した5万人以上のデータを解析し、強度の高い運動を習慣として続けている人の体重やウエストラインの変化について調べた。
その結果、1日30分以上の活発なウォーキングを続けている人は、スポーツジムに通いランニングやサイクリングを続けている人に比べ、体格指数(BMI)がより少なく、ウエストラインも細い傾向があることが明らかになった。
「ランニング、サッカー、テニス、スカッシュ、ランニングなどの激しいスポーツに比べても、ウォーキングのメリットは大きいことが明らかになりました」と、研究を主導したグレイス ローダン氏は言う。
ウォーキングに取り組んでいる人は運動を毎日行っているが、激しいスポーツをする人は週末などに集中的に運動している傾向があるという。「ウォーキングは毎日行うと効果が高く、スポーツジムに通うよりも効果的であることが示されました。ただし、散歩程度では十分な強度を得られないので注意が必要です。脈拍数が上昇し汗をかく程度の活発なウォーキングが必要です」と、ローダン氏は指摘する。
英国の運動ガイドラインはウォーキングなどの中強度以上の運動を週に150分行うことを推奨しているが、実際に実行しているのは成人の20%未満だという。運動不足が原因となる肥満などによって、年間に約1,800億円(10億ポンド)以上の医療費が費やされている。
「スポーツジムに加入する人は、はじめのうちは熱心にジムに通いますが、次第にその頻度が低くなる傾向があります。その点、ウォーキングはいつでもどこでも取り組めるので継続しやすく、費用もかかりません。ジムに通うのに比べウォーキングは簡単にはじめられます」と、ローダン氏は言う。
「ウォーキングの効果は50歳以上の女性でより際立っており、男性よりもBMIが大きく下回っていました。ただし、仕事と家事を両立している女性は、毎日の多忙なスケジュールの中でウォーキングの時間をとれない傾向があります」と、ローダン氏は指摘する。
「ウォーキングは健康増進のために効果的な手段となり、肥満や高血圧、糖尿病などの予防・改善の効果もある。「多忙な毎日をおくる人も、1日30分の時間を確保できるよう、ワーク・ライフ・バランスを調整することを考えるべきでしょう」と、ローダン氏は指摘する。
Regular brisk walking is best exercise for keeping weight down, says LSE research(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス 2015年11月3日)
Do All Activities "Weigh" Equally? How Different Physical Activities Differ as Predictors of Weight(Risk Analysis 2015年5月20日)
運動療法の関連記事
- 運動と健康的な食事の組み合わせで効果は最大に 内臓脂肪が減り転倒も防止 女性にも運動が必要
- ウォーキングなどの運動で糖尿病リスクを減少 余暇時間の運動が寿命を4.5年延ばす 仕事の後は体を動かす習慣を
- ウォーキングなどの運動で糖尿病など19種類の疾患のリスクを減少 わずか5分の運動で認知症も予防
- ウォーキングなどの運動は糖尿病の人に良い 運動で食欲も抑えられる 認知症の予防にもつながる
- 糖尿病の人に「不規則な生活」はなぜNG? 体内時計が乱れるとインスリン作用が低下 どうすれば改善できる?
- ラジオ体操などにより要介護や認知症のリスクが低下 体操は取り組みやすく続けやすい
- [高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
- 良い睡眠は糖尿病リスクを減らす 睡眠は「魔法の薬」 3つの方法で改善
- 座っている時間が糖尿病や肥満のリスクを上昇 わずか10分間の運動で血管が健康に 睡眠も改善
- 少し食べすぎただけで糖尿病? ストレスが糖尿病や肥満の原因に ウォーキングなどの運動でストレスを解消