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2015年11月13日
世界糖尿病デー 増え続ける糖尿病 糖尿病人口が4億人を突破

世界の糖尿病人口は爆発的に増え続けており、2015年現在で糖尿病有病者数は4億1,500万人に上ることが判明した。

2015年の20~79歳の成人の糖尿病有病率は8.8%で、11人に1人が糖尿病有病者と推定されている。
糖尿病関連の医療費は約81兆円(6,730億ドル)で、世界の主な国で全医療費の5~20%を占めている。糖尿病の医療費は2040年までに約96兆円(8,020億ドル)に増える予測されている。


西太平洋地域の糖尿病有病数は1億5,320万人(有病率 8.8%)で、全世界の37%がこの地域に集中しており、2040年までに2億1,500万人に増加すると予測されている。中国とインドネシア、日本の3国が世界ランキングの上位10位に名を連ねている。
西太平洋地域は糖尿病人口が多いにも関わらず、費やされている糖尿病の医療費は全世界の13%に相当する約13兆円(1,060億ドル)だ。
世界ランキングでは、第1位は中国(1億960万人)ではじめて1億人を超えた。第2位インド(6,920万人)、第3位米国(2,930万人)となり、上位3ヵ国の順位は昨年と同じだ。
日本の現在の成人の糖尿病人口は720万人で、ランキングでは昨年からひとつ上がって9位になった。

適切な糖尿病の治療を続けていれば、脳卒中、失明、腎臓病、足病変といった合併症の多くは予防が可能だが、そのために早期診断・治療が必要となる。糖尿病は初期の段階では自覚症状の乏しい病気なので、1年に1回以上は糖尿病の検査を受ける必要がある。

毎年、8万6,000人の子供が1型糖尿病を発症しており、発症数は毎年3%ずつ増加している。世界の小児1型糖尿病(0~14歳)の患者数は54万2,000人に上る。
1型糖尿病患者が生き続けるためにインスリンが不可欠だが、途上国ではインスリンは不足している。IDFは「ライフ フォー ア チャイルド」というプログラムを展開しており、これまで46ヵ国の1万7,000人の子供にインスリンを提供してきた。
「糖尿病アトラス 2015」の主な内容は次の通り――
・ 糖尿病(1型糖尿病、2型糖尿病)とともに生きる患者に質の高い医療サービスを提供すると同時に、2型糖尿病の予防を促すための対策を優先して推し進める政策が世界規模で求められている。
・ 糖尿病が原因となり死亡する人の数は年間500万人。糖尿病と糖尿病合併症はほとんどの国で死亡原因の上位を占めている。
・ 糖尿病に対する「豊かな先進国に多い病気」というイメージは誤りだ。糖尿病有病者の4分の3は低・中所得の国に集中している。
11月14日の世界糖尿病デーには、「糖尿病はコントロールできる病気であり、適切な治療を続けていれば合併症を予防できる」と呼びかけられている。
世界保健機関(WHO)は、不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒などの原因が共通しており、生活習慣の改善により予防可能な疾患をまとめて「非感染性疾患(NCD)」と位置付けている。
2013年にジュネーブで開催された第66回WHO総会では、NCDの予防と管理のための新たな行動計画(2013~2020年)が、満場一致で採択された。
具体的な目標として、「NCDによる早期の死亡の減少」「運動不足の解消」「有害な喫煙や飲酒の抑制」「必要な医薬品を入手できるように社会整備を進める」などが掲げられている。
世界糖尿病デーのキャンペーンは毎年11月14日に、国際糖尿病連合(IDF)と加盟組織が主導し、170ヵ国以上の230以上の関連団体により執り行われている。
世界糖尿病デーは、糖尿病の脅威が世界的に拡大しているのを受け、1991年に国際糖尿病連合と世界保健機関(WHO)により制定された。世界糖尿病デーは2007年に国連決議で採択され、正式な国連デーとなった。
IDF糖尿病アトラス(Diabetes Atlas)
世界糖尿病連合(IDF)
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