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2013年11月13日
1型糖尿病は適切に理解されていない 6割は病名も知らない
厚生労働省の「2011年国民健康・栄養調査報告」では日本国民の27.1%が糖尿病かその予備軍であることが報告されており、糖尿病は日本人の国民病とまで言われている。ただ、糖尿病というと、食事や運動などの生活習慣との関連が深い「2型糖尿病」のイメージが強く、「1型糖尿病」についてはあまり知られていないのが現状だ。
糖尿病という言葉に対し、「不摂生」や「怠惰な生活」といったイメージをもつ人は少なくないが、そうした場合にイメージされるのは「2型糖尿病」が多い。2型糖尿病は、インスリン分泌の低下やインスリン抵抗性をきたす複数の遺伝因子に、食べ過ぎや運動不足などの環境因子が加わり、インスリン作用の不足し血糖値が高くなり発症する。
一方、「1型糖尿病」は、自己免疫疾患を基礎とする疾患で、体の自己免疫システムが誤ってインスリンを産生する膵β細胞を破壊することで発症する。2型糖尿病と異なり、生活習慣や肥満とはまったく関係がない。
1型糖尿病の発症年齢は、小児から思春期で多いが、中高年でも発症することがある。発症率は10万人に1〜2人程度とみられており、決して珍しくない疾患だ。
発症メカニズムが全く異なる「1型糖尿病」と「2型糖尿病」だが、日本イーライリリーの調査では、「1型糖尿病」をどの程度知っているのか聞いたところ、「知っている」人は12.1%、「名前を聞いたことがある」人は28.5%という結果になった。
「糖尿病は知っているが種類は分からない」人が45.6%、「知らない・分からない」人が13.8%で、約6割の人が1型糖尿病の名称さえ聞いたことがないことが明らかになった。
1型糖尿病の発症原因は、体質が因子としてあげられるものの、正確には分かっていない。ただし、過食や運動不足などの生活習慣と関係がないのはほぼ確実だ。1型糖尿病に対し、誤った理解をもっている人が多いことが分かった。
さらに、1型糖尿病患者さんが制限されると思う生活や活動を聞いたところ、「甘いものやアルコールの摂取」(82.5%)、「激しい運動」(29.6%)に、「妊娠・出産」(21.9%) が続いた。「制限される生活・活動はない」と答えた人は12.6%だった。
1型糖尿病は、インスリンが絶対的に不足しているかまたは全くないために引き起こされる疾患なので、インスリン製剤を自己注射することで体の外から補って、健康な人と同じ血糖値の変動パターンに近づける治療を続ける必要がある。
インスリン製剤やその治療方法が飛躍的な進歩を遂げており、インスリン療法を取り巻く環境は進化し続けている。血糖コントロールを妨げる原因にならない限りは、「制限される生活・活動はない」と考えられている。
内潟安子教授は、今回の調査結果を受け、「1型糖尿病は生活に大きな制限が生じると思われている人が多いようですが、きちんと血糖をコントロールすれば普通の人と変わらない生活が続けられます。1型糖尿病だからといって、外食などを断念する必要はありません。事前に血糖コントロールをきちんと行い、リスクを最小限に抑えた上での計画的な妊娠・出産も可能です。理解不足と誤解から、偏見を受けてしまう患者さんもいらっしゃるようですので、社会に正しい理解が広がることを切に願っています」と話している。
調査では、「1型糖尿病」がどのような疾患かを説明した上で、友人や同僚が1型糖尿病であったら教えて欲しいと思うか聞いたところ、48.5%が「教えて欲しい」と回答した。「教えて欲しい」人の主な理由は、「何かあったときすぐに対処したいから」、「何かあったとき助けになったり、相手の身になって考えたい」など、低血糖が起きた際などに備えたいという内容が主だった。
「今回の調査では、友人や同僚が1型糖尿病だった場合、『何かあった時に助けになりたい』という声も寄せられました。疾患のことを理解していれば、思わぬ時間や場所で低血糖が起きた時などに、周囲の人もどう対応してあげたら良いのか分かります。1型糖尿病の患者さんも、1人で悩まないで、周囲の人にいざという時のサポートをお願いすることを考えてみてはどうでしょうか」と、内潟教授は述べている。
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