30. 骨を丈夫に保つには

2016年9月 改訂

骨を丈夫に保つには

 骨粗しょう症の治療の目的は、骨量を維持し骨折を防ぐことです。検査で骨量が減っていると指摘されたら、できるだけ骨量を減らさない努力をしていきましょう。
 骨量が20〜44歳の人の平均値の70パーセント未満に減ると粗しょう症と診断され、治療の対象となりますが、糖尿病などの危険因子がある場合、70〜80パーセントに骨量が減った「骨粗しょう症予備軍」の状態でも、治療がすすめられます。

食事療法の工夫

カルシウムをたっぷりとる
 日本人のカルシウム平均摂取量は1日500ミリグラム台で、所要量の1日600ミリグラムを満たしていません。骨量が減少している人は、600ミリグラムといわず、できるだけ多く摂るようにしてください。カルシウムは一定量以上は吸収されませんので、摂り過ぎが問題になることはありません。よく知られているように、牛乳や小魚などにたくさん含まれています。
 カルシウムの多い食品
 食 品 名回に食
べる量

(g)
その目安量そのカルシ
ウム量

(mg)
牛乳・
乳製品
普通牛乳200 220 
ヨーグルト(全脂無糖)100 240 
スキムミルク20 大さじ1/2220 
アイスクリーム(普通脂肪)100 140 
チーズ(プロセス)20 切れ126 
小魚類丸干し(まいわし)40 176 
みりんぼし(かたくちいわし)20 160 
煮干し10 220 
しらす干し15 大さじ78 
いわし油漬け缶詰55 1/2193 
干しえび5 1/5355 
緑葉 
野菜類
小松菜80 1/2120 
京菜80 小株160 
大根の葉50 1/2110 
かぶの葉80 152 
大豆・ 
豆製品類
豆腐(もめん)150 1/2129 
生揚げ120 288 
油揚げ25 75 
凍り豆腐20 126 
納豆50 1/245 
海藻・
乾物類
こんぶ10 10cm76 
ひじき(乾燥)10 1/5カップ100 
わかめ(乾燥)5 1/4カップ48 
切り干しだいこん(乾燥)10 1/5カップ50 

 

 


ビタミンDとKも大切
 腸からのカルシウム吸収を増やす活性型ビタミンDの元となる、ビタミンDを多く摂るようにしましょう。また、骨形成を促進するビタミンKの摂取も大切です。ビタミンDは魚(脂身の多い魚)に多く、ビタミンKは小松菜などの緑葉野菜のほか、納豆にはとくに多く含まれています。

指示エネルギー量を満たす
 血糖コントロールのために食べ過ぎないことばかりに目がいき、必要以上に食事を減らしたり、あるいは栄養バランスが良くない食事を続けているとカルシウムが不足してしまいます。主治医にいわれた指示エネルギー量は、オーバーするのはもちろん良くありませんが、満たさないのも良くありません。そしてエネルギー量だけでなく、栄養素にも気を配りながら、正しい食事療法を続けていきましょう。

そのほかには
 食物繊維を多く摂ると糖尿病や脂質異常症(高脂血症)にはよい影響を与えますが、過度の摂取はカルシウム吸収を妨げ骨量維持にはマイナスに作用します。意識して食物繊維を多く摂るのなら、カルシウムも意識して多く摂るようにしましょう。このほか、ナトリウム(塩分)の摂り過ぎも、体内の浸透圧を高め尿中に排泄されるカルシウムを増やすので、塩分は控え目にしましょう。

運動療法の工夫

 適度な運動は骨に刺激を与え、骨の内部の血行もよくなって、骨形成を盛んにします。運動の種類としては、筋肉に負荷がかかるウエイトトレーニングが効果的です。ただし、いきなり強い負荷のかかる運動をすると骨折や関節障害の危険があり、また糖尿病治療との兼ね合いもあるので、主治医の指示を受けてください。
 なお、ビタミンDの8割は、紫外線を受けて皮膚で作られます。1日30分程度日光にあたるだけで十分ですから、毎日外出する機会がある人は問題ありませんが、家の中にいることが多い高齢の方などは、なるべく屋外で運動するようにしましょう。

骨粗しょう症の薬

 食事療法を補うために、カルシウム製剤や活性型ビタミンD、ビタミンKなどのビタミン製剤が処方されます。骨代謝を改善するホルモンも薬として用いられ、カルシトニン製剤、エストロゲン製剤などがあります。このほか、カルシトニンやエストロゲンの分泌を促すイプリフラボン製剤、破骨細胞の機能を抑えるビスフォスフォネート製剤などが治療に用いられます。
 なお、これらの薬の中には糖代謝に影響を与えたり、血液の凝固力を高める作用をもつ薬もあるので、血糖コントロールが悪い人や合併症がある人には処方されないものもあります。

糖尿病の治療

 骨量減少を防ぐため、糖尿病そのものの治療が重要なことは、改めていうまでもありません。血糖コントロールが悪い状態が長く続いている人ほど、骨折の危険が高くなります。また、小児・若年期に1型糖尿病を発病したのなら、十分な骨の成長のためにも、適切なインスリン療法が大切です。

転ばない工夫をしましょう

 骨折を防ぐには、骨を丈夫にすることもさることながら、骨折の直接的な原因となる危険を避けることも大切です。少しでも重いと感じる荷物は無理して持たない、長時間起立していたり中腰などの中途半端な姿勢をとらないなどの注意ももちろん必要ですが、なによりも骨折の一番大きな原因である転倒を防ぐようにしましょう。
 加齢とともに誰でも筋力や反射神経が低下して転びやすくなりますが、糖尿病の人は網膜症や白内障で視力が低下していたり、動脈硬化による間欠性跛行〈はこう〉(歩くとすぐ足が痛む)や神経障害で足が変形している、立ちくらみを起こしやすい、といったことから、転倒しやすい状況にあるといえます。この辺りにも、糖尿病の人が骨折しやすい原因があると考えられます。
 階段や風呂場などには手すりやすべり止めを付ける、部屋の中でつまずかないように整理整頓する、照明は明るくしスイッチは部屋の出入り口に取り付ける、立ち上がるときはゆっくりと立つ、足にあった靴を履く、雪の日の外出は控えるなどなど、対策はいろいろ立てられます。「転ばぬ先の杖」のことわざどおり、常日ごろから骨を丈夫にすると同時に、転倒しないよう気をつけてください。

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