28. 小児の糖尿病(2)日常生活Q&A

2002年6月 改訂
Q16
低血糖を覚えさせる方法を教えてください。
 小学校の低学年ぐらいまでは、低血糖を自覚できない子どもは結構います。でも、なんとなく変だという感覚は、子ども自身もわかっているようです。親がそばで見ていて、明らかに低血糖なのに本人が気付いていないときには、「あっ、これは低血糖だね」と声をかけて甘い物をあげてください。子どもが“何かおかしい”というようなときには、血糖値を測定してみてください。小さい子は高血糖のときにも「お腹が空いた」と言うことがよくあります。
 このようにして、徐々に自分の低血糖の症状がわかるようになります。低血糖がわからないと、生活にかなり制限が加わってしまうので、早く自覚できるようになりましょう。
Q17
運動療法は何歳から始めればよいですか?
 子どもの場合、いわゆる“運動療法”は、基本的には必要ありません。小学生ぐらいまでは、幼稚園や学校で遊ぶだけで十分で、「1日○歩歩きなさい」などの指示は不要です。逆に、運動や遊びを制限する必要もありません。ただし、雨の日など外で遊べない日には血糖値が上がりますので、インスリン量を増やすことも考慮します。また、中学生ぐらいになって、家でゲームに熱中しているような子には、少し外に出歩くようにすすめてください。
Q18
実は、親に黙ってよく間食をしています。また、血糖の測定値が高いと、低めに記入してしまいます。いけないとはわかっていても、やめられません。
 私もそうでしたので、そうする気持ちはよくわかります。今考えると、「なんでそんなことを…」と思いますが、親には叱られたくないし、多分、医師の前では“いい子”でいたかったのでしょう。ただ、こうしたことは、治療にとってマイナスであることは間違いありません。間食がどうしても我慢できなければ、それがストレスになるより、インスリンを若干増やして食べたほうがよいこともあります。自分だけで悩んでいないで、お母さんや病院の先生に相談するようにしましょう。“うそ”をつき通すには、うそを積み重ねなければいけなくなります。
 また、保護者の方で自分の子もそうしているのではないかと思い当たるのなら、血糖値が高いときに叱ったり、がっかりした表情をしていないか振り返ってみてください。子どもはそういう親の様子を目にするのが辛くて隠すのですから。隠れて食べていることがわかったときにも叱るのではなく、隠す必要はないことを時間をかけて説明してあげてください。そして必要なら、主治医と相談して食べる量を増やしてあげてください。
Q19
思春期に入ってから、親の言うことを全然ききません。コントロールもよくないようで、このままでは合併症が心配です。
 思春期は、社会的に自立した大人へと成長するひとつの過程だと考えてください。多少荒れても、親はじっと見守っている時期が必要だと、私は思います。もちろん生命に関わるような状況のときは、しっかりと助言してもらわなければいけません。それ以外は、距離をおいて見ている姿勢が大切です。糖尿病でなくても、親の言うことを聞かない時期はあるのですから。
 ひとつだけ注意したいことは、小さいときに発病したのなら、思春期に入るまでに糖尿病の再教育(インスリン注射がなぜ必要か、合併症の怖さなど)を十分しておくことです。幼少期に発病すると、最初に聞いたうろ覚えの知識のまま大きくなってしまうことも少なくありません。理解力にあわせ、少しずつ知識を身に付けていくようにします。
 あとは、「やらなくて将来困るのはあなた自身なのよ」ぐらいに思うのがちょうどよいかもしれません。「血糖測ったの?」「ちゃんと注射したの?」と言い続ければ、子どもはもっと反抗的になります。仮にコントロールが目茶苦茶で、半年ぐらいHbA1cが10%ぐらいだったとしても、その期間だけであれば、重度の合併症にはまずなりません。あまり干渉し過ぎると、子どもは自分のためでなく、親のためにコントロールするという気になり、自立した社会性を持てなくなるのが心配です。
Q20
幼稚園や学校の友達・先生に糖尿病のことを正しく知ってもらう方法を教えてください。
 糖尿病であることをあいまいにしたまま通園・通学するのは、食事や低血糖の心配などの心理的な負担が大きくなり、よくありません。自分で説明できない年齢であれば保護者が、自分で説明できるのであれば本人が、学校の先生や友達にしっかり伝えておきましょう。最近では小児糖尿病関連の本がいろいろ出ていますので、それを持っていくのもよいでしょう。中途半端な説明が一番いけません。元気でいるためにはインスリン注射は絶対に必要なこと、低血糖が起きる可能性は常にあることなどを、正確に伝えましょう。それにはまず、説明をする人自身が糖尿病を正しく理解していなければいけません。
Q21
将来プロのサッカー選手になりたいのですが、無理でしょうか?
 スポーツの分野で活躍している1型糖尿病の患者さんはたくさんいます。プロ野球ではかつて巨人軍にガリクソン投手がいました。最近では、エアロビクスの世界大会で優勝した日本の高校生がいます。
 サッカーはスポーツの中でもかなり激しいですね。低血糖は避けることはできません。でも、自分の血糖値を自分で管理できるようになれば、ワールドカップに出場できるようなサッカー選手になることも、決して夢ではありません。

高校生・大学生になって1型糖尿病を発病すると、

 小児期を過ぎ、ある程度大人になってから1型糖尿病を発病した患者さんをみていると、子どもたちとは別の大変さがあるようです。
 まず、保護者に面倒をみてもらう年齢でないので、最初から自分一人で勉強し、すべてを管理していかなければいけない大変さがあります。そして、発病するまでの糖尿病ではなかった期間が、小児期に発病した人より長く存在することも、病気を受容する妨げとなります。さらに、ちょうど自分の夢や希望が具体的になってくる時期でもあります。
 一般には小さいころに発病するほど苦労が多いように受けとりがちですが、こういう人たちの大変さを理解することも、同じ患者として必要なのかもしれません。

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