1. 糖尿病とは「基礎編」

2017年10月 改訂

監修
東北大学名誉教授 後藤由夫先生

編集
HDCアトラスクリニック 院長 鈴木吉彦先生


糖尿病の人口と病気の特徴

 厚生労働省の調査によると国内の糖尿病患者数は約1,000万人と推定されています(2016年国民健康・栄養調査)。ところが同じ調査で、その患者さんのうち治療を受けているの76.6%と報告されています。つまり、糖尿病であることに気付かないでいる人や、気付いていても治療をしないでいる人が、少なくないことがわかります。
 糖尿病は自覚症状が少ないためにこのような状況となっているのですが、治療しないでいると、やがて全身にさまざまな障害を起こすのがこの病気の特徴であり、恐ろしい点です。
遺伝ストレス
食べすぎ飲みすぎ

糖尿病の誘因

 糖尿病は加齢のほか日常の生活習慣が誘因となって発病するので、「生活習慣病」といわれています。そして、糖尿病の患者数は年々増え続けています。その理由は、現代社会そのものが糖尿病を増やす生活習慣を生みやす造にあるからです。食べすぎ、運動不足、ストレス、アルコールの飲みすぎなど、どれをとっても現在増え続けている事柄で、外食産業の隆盛や自動車社会の繁栄、肥満の増加、ストレス社会など、糖尿病を招きやすい条件はたくさんそろっています。
 また、これらの生活習慣にかかわる誘因とともに、糖尿病の発病には遺伝的な素因も深く関係しているため、血縁者に糖尿病の人がいる場合にはとくに注意が必要です。なお、加齢や生活習慣とは関係なく発病するタイプの糖尿病もあります(「糖尿病のタイプ」の項参照)。

インスリンの作用が不足し
血糖値が上がります

 インスリンは膵〈すい〉臓で作り出されるホルモンで、細胞が血液の中からブドウ糖を取り込んでエネルギーとして利用するのを助ける働きをしています。インスリンの作用が不足すると、ブドウ糖を利用できなくなり、血液中のブドウ糖濃度「血糖値」が高くなります。これを高血糖といい、この状態が継続するのが糖尿病です。
 インスリンの作用不足には、膵臓のインスリンを作る出す(インスリン分泌)能力が低下してしまうことと、インスリンに対する細胞の感受性が悪くなることの二つの原因があります。

    炭水化物をエネルギーとして利用する仕組み

     私たちは、食べ物を消化・吸収することで、生命を維持し活動するためのエネルギーを得ています。食物中の栄養素には、炭水化物、脂質、たんぱく質があり三大栄養素と呼ばれていますが、エネルギー源として最もよく使われるのが炭水化物です。
     炭水化物は、消化・吸収されブドウ糖となって肝臓へ送られます。そのうちの一部は脳や筋肉で利用され、残りのブドウ糖は肝臓内にグリコーゲンとして蓄えられます(さらに余った分は脂肪になります)。
     身体活動で血液中のブドウ糖を消費すると、グリコーゲンが分解されて再びブドウ糖となって血液中に放出されます。このようにして、活動のためのエネルギーが常に維持され、血糖値は一定の範囲内の変動におさまっているのです。

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