糖尿病セミナー

1. 糖尿病とは「基礎編」

2017年10月 改訂

糖尿病のタイプ

インスリン作用不足の原因による分類

1型糖尿病

 膵臓のインスリンを作り出す細胞(β細胞)が破壊されてしまい、インスリン分泌がほぼゼロになってしまうタイプです。自己免疫疾患(本来は体外からからだに侵入しようとする病原菌などを無力化するための免疫機が、自分のからだに対して作用してしまうこと)や、ウイルス感染などにより、突発的に発病することがほとんどです。小児や若年層に多く発病しますが、成人後や高齢者でも徐々にβ細胞が破壊されてくることがあります。

2型糖尿病

 インスリン分泌が低下はしているもののゼロではなく、いくらかは分泌されているタイプです。インスリン抵抗性(細胞のインスリン感受性が低下した状態)により、作用が不足しているケースもあります。日本では圧倒的に2型糖尿病が多く、生活習慣病と呼ばれる糖尿病はこのタイプの糖尿病です。
 なお、この二つのタイプ以外に、「特定の原因によるその他の型の糖尿病」、「妊娠糖尿病」があります。

インスリン作用不足の程度による分類

生存のためインスリン治療が必要な状態

 インスリン分泌が絶対的に不足し、体外からのインスリン補給(インスリン治療)が欠かせない状態です。

高血糖是正にインスリン治療が必要な状態

 生存のためにインスリン治療が欠かせないわけではありませんが、ほかの治療法では血糖値が十分に下がらず、血糖コントロールのためにインスリン治療が必要な状態です。

インスリン治療が必要ない状態

 食事療法や運動療法、飲み薬による治療で血糖コントロールが可能な状態です。
 2型糖尿病の多くは後者の二ついずれかに該当します。

糖尿病と診断される時

 糖尿病かどうかは、高血糖が慢性的に続いているかどうかを確認して診断します。ただし、血糖値は食事などの影響で大きく変化しますので、以前は血糖検査を繰り返し行って糖尿病と診断していました。しかし最近、HbA1c(「治療の成績を知る指標」の項参照)という血糖状態を過去にさかのぼって調べられる検査を組みあわせることで、1回の検査で診断できるように改められました。
 具体的には、採血検査で下の四つのいずれかに該当した場合、その時点の血糖レベルを「糖尿病型」と判定します。そして、血糖値とHbA1cのいずれもが糖尿病型なら、糖尿病だと診断が確定します。
 ただ、血糖値かHbA1cのどちらか一方のみが糖尿病型の場合などでは、日を改めて再検査することもあります。
「糖尿病型」と判定される検査結果
(1) 随時血糖値が 200mg/dL以上
(2) 空腹時血糖値が 126mg/dL以上
(3) 75gブドウ糖負荷試験で2時間値が200mg/dL以上
(4) HbA1cが6.5%以上(HbA1cについては「治療の成績を知る指標」の項参照)

※75gブドウ糖負荷試験
 75gのブドウ糖を飲み、時間を追いながら血糖値を調べる検査です。血糖値の変動から、糖尿病型なのか、正常型なのか、あるいはその境界型なのか、パターンが示されます。
 境界型の人は、今は大丈夫でも糖尿病を発病する可能性が高く、また、糖尿病の患者さんと同じくらい動脈硬化が進みやすいので、ふだんの食事や運動に気をつけるとともに、定期的に検査を受けるようにしましょう。正常型でも、空腹時血糖が100mg/dL以上、または1時間値が180mg/dL以上の場合も同様です。
ブドウ糖経口負荷試験

一般には75gのブドウ糖を飲んで、1時間後、2時間後に採血をし、その時の血糖値から病気を診断しようとする検査です



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