いま、1型糖尿病は
2007年09月07日
海外へのインスリン製剤持ちだしは大丈夫?
機内への液体物持ち込み制限
夏は海外に出かける方も多いことでしょう。海外にでかける時は「インスリンは大丈夫か?」、インスリン製剤を機内に持ち込めるか、荷物の中にいれてよいか?と不安になられることと思います。
平成18年8月10日の英国ヒュースロー空港でおきたテロ事件以来、たしかに出国の際の警備はきびしくなりました。これは、国際線民間航空機関(ICAO)による「国際線航空機内への液体物持ち込み制限」の導入という規制によるものです。わが国でも、平成19年3月1日からこの規制を国際線に導入されています。
英文の証明書はいらない?
結論からいいます。インスリン製剤の機内への持ち込みはまったく大丈夫です。それから、旅行会社によってはインスリン製剤の中身を英文で書いたものがほしい、というところがあります。しかしながら、これは義務ではありません。実際に、インスリン製剤や糖尿病であることの英文証明書なしで、私の患者さんは海外を行き来しています。先日はカリブ海のクルーズからもどってきた方もおられます。問題なしです。
また、ある方はお仕事で、アメリカ、ドイツをいったり来たりしておられますが、まったく問題なしです。
問題は中身の解らない液体
それでは何が問題なのかと言いますと、医薬品、ベビーミルク/ベビーフード、特別な制限食など以外の、液体物です。つまり、ペットボトルの飲料水、化粧水の瓶、コンタクトレンズの洗浄液など、などです。これらを機内に持ち込みたい時は、100mL以下の容器にいれて、透明なプラスチックバック(フリージングバックくらいの大きさがもっともいい)にいれて、手荷物検査の時に係りの方に見せればいいのです。
インスリン製剤、注入器、血糖自己測定器は機内持ち込みで
インスリン針の余分は預ける荷物の中にいれてもいいですが、インスリン製剤、フライト中の必要な針、血糖自己測定器は手荷物として飛行機に乗りましょう。普通に手荷物検査のエックス線検査を通してください。
手荷物検査は国によってさまざま
手荷物検査は英国、アメリカなど先進国ではきちっとおこなわれています。なにしろ、これらの国では、パーソナルコンピュータもカバンから出してエックス線検査を通す必要があるし、男の方はジャケットを脱ぐことも必要になるし、ベルトを取ることも要求されます。また履物も脱いで検査に出すことも要求されます。 でも、これらは英語が理解できなくても、係官からジェスチャーで指示されるので、心配はいりません。
2007年の夏に、学会参加のため、アフリカのガーナに出かけました。ドバイで飛行機を乗り継いで帰国しましたが、いずれの国でもまったくこのような検査はありませんでした。
2007年の5月末に北京に行きましたが、この地はまた変わっていて、透明なプラスチックバックをわざわざ渡されます。渡された透明なプラスチックバックを使用しないといけないのです。
国によって、いろいろだなと思いました。
ともかく機内では水分摂取を忘れずに
それでは、水分を取ることなく、がまんしなければならないのか、と思われるでしょう。大丈夫です。この検査を通過すれば、つまり免税品を販売している場所などでは、ペットボトルの飲料水を購入することもできますし、そのまま機内に持ち込むこともできます。また、機内では食事のあとにペットボトルの飲料水を配布されることも多いのですね。これはエコノミークラス症候群、つまり座りっぱなしと脱水による血栓症を予防するために、水分を摂取することがとても大事なこととされているからです。そして、足首などをこまめに回しておきましょう。
機内はとても乾燥しています。私も水分だけは十分に取るようにしています。
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