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2024年01月05日

良い睡眠をとれていないと糖尿病リスクが上昇 睡眠を改善するための7つのヒント

 日本人を含むアジア人は、全体に就寝時間が遅くなり、睡眠時間が短くなっているという国際調査の結果が発表された。

 とくに日本人の睡眠のとり方は、35ヵ国で最低であることも示された。

 十分な良い睡眠をとれていないと、糖尿病リスクが上昇することが明らかになっている。

 睡眠を改善するために、毎日のルーティンを見直して、最適化することが大切だ。

 専門家は、睡眠を改善するための7つのヒントを紹介している。

日本人の睡眠のとり方は35ヵ国で最低

 日本人を含むアジア人は、全体に就寝時間が遅くなり、睡眠時間が短くなっているという国際調査の結果が発表された。睡眠の質も低下しているという。

 とくに日本人の睡眠のとり方は、35ヵ国で最低であることも示された。日本では、平日と休日の睡眠時間に大きな差があり、平日に十分な睡眠をとれないので、休日に「寝だめ」する人が多い傾向があるという。

 研究は、シンガポール国立大学などによるもの。研究グループは、腕に巻くタイプのヘルストラッカーにより収集された、35ヵ国の30~55歳の成人22万人超の睡眠データを解析した。

 「アジアに住む人々は、世界の他の地域に比べて、睡眠時間が短い傾向があることが分かりました。睡眠は重要な健康問題であり、睡眠を改善することで、健康や幸福度、日中の仕事のパフォーマンスも向上できます」と、同大学睡眠認知センターの所長であるマイケル チー教授は言う。

良い睡眠をとれていないと糖尿病リスクが上昇

 十分な良い睡眠をとれていないと、糖尿病リスクが上昇することが明らかになっている。

 睡眠時間が足りない状態が6週間続いた女性は、血糖を下げるインスリンが効きにくくなるインスリン抵抗性が高まることが、米コロンビア大学医療センターの研究で明らかになった。

 研究グループは、38人の20~75歳の女性を無作為に2つのグループに分け、1つのグループには通常通りの睡眠をとってもらい、もう1つのグループには就眠時間を1時間遅くしてもらい、1晩の睡眠時間を6時間に制限した。

 6週間後、睡眠時間を少なくしたグループは、空腹時のインスリン値が高くなり、インスリン抵抗性の指標であるHOMA-IRも上昇した。糖尿病リスクの上昇は、閉経後の女性でより顕著だった。

 「インスリン抵抗性は、十分な睡眠をとれなかった女性では15%増え、とくに閉経後の女性では20%増えました」と、同センターで睡眠と体内時計について研究しているマリー ピエール サンオンジュ氏は言う。

 「インスリン産生する膵臓のβ細胞に長期にわたりストレスがかかると、機能が低下し、最終的には2型糖尿病のリスクが高まる可能性があります」。

 「今後の研究では、睡眠スケジュールが不安定な人が、睡眠を改善することで血糖管理が良くなるかを調べる予定です。日常生活で十分な睡眠がとれていない人が睡眠を改善すると、糖代謝が良くなる可能性があります」としている。

睡眠を改善するための7つのヒント

 十分な睡眠をとることは、体と心を健康にするために不可欠だが、多くの人が、良い睡眠をとるのを困難に感じている。

 良質な睡眠とさわやかな目覚めは、いきいきとした毎日の生活リズムをつくり出し、ホルモン分泌の調整や、免疫機能の向上にもつながる。

 「睡眠について悩みがあるのなら、毎日のルーティンを見直して、良い睡眠をとるために最適化することをお勧めします」と、米ミシガン大学睡眠障害センターのロナルド チャービン氏は言う。

 チャービン氏は、睡眠を改善するための7つのヒントを紹介している。

睡眠を改善するための7つのヒント

1快眠は規則正しい生活から

 規則正しい生活によって、体内時計がホルモンの分泌や生理的な活動を調節し、睡眠に備えて準備してくれる。
 体内時計を整え、体を睡眠に導くために、朝食をしっかりとり、夜食は控えめにするなど、健康的な食事スタイルが大切。適度な運動をする習慣も、睡眠の質を高めるのに役立つ。

2眠れないときもくよくよ考えない

 適切な睡眠時間には個人差があり、季節や年齢によっても変動する。良く眠れない夜があっても、時計をみつめたり、くよくよと考えることをしないで、リラックスして過ごすようにする。
 睡眠が足りているかは、日中の活動状態を目安にして判断する。日中にしっかり目覚めて活発に過ごせていれば睡眠は足りている。

3睡眠前のカフェインやアルコールの摂取は避ける

 就寝前にカフェインを摂取すると、入眠が妨げられる。就寝の3〜4時間前には、コーヒーなどカフェインを含む飲料を飲まないようにする。
 また、睡眠薬の代わりにアルコールを飲むと、夜中に目が覚めてしまう「リバウンド効果」が起こり、かえって睡眠の質を悪くする。就寝の2~3時間前には、アルコールを飲まないようにする。

4入浴して深部体温を上げる

 入浴には加温効果がある。就寝1~2時間前に入浴すると、体の奥の体温である「深部体温」が上がり、その後に睡眠に入りやすくなる。
 寝る少し前に深部体温をいったん上げると、その後に下がって、眠りに入りやすくなる。

5リラックスできる方法を取り入れる

 眠る前に、軽い読書、音楽、軽いストレッチなど、自分に合ったリラックスできる方法をみつけて取り入れる。
 眠ろうとする意気込みはかえって逆効果になることがあるので、眠れないときは無理に眠ろうとせず、リラックスできる方法を試しみて、眠くなるのを待つ。

6朝は日光を浴びて体内時計のスイッチを入れる

 朝に太陽光を浴びると、体内時計が24時間周期にリセットされる。起きたらまずカーテンを開けて、自然の光を部屋の中に取り込むと効果的だ。
 週末などの休みの日も、なるべく平日と同じ時刻で起床するよう心がける。

7「睡眠アプリ」を活用する

 睡眠を記録し、傾向を分析することで、睡眠の習慣を振り返ることのできる、さまざまな「睡眠アプリ」やウェアラブルデバイスが出ている。
 睡眠の量・質・リズムなど、計測した自分の睡眠データをチェックすることが、睡眠の質を改善するきっかけを作ることがある。

 「睡眠障害は、体や心の病気のサインである場合もあります。なかなか寝付けない、熟睡できない、十分に寝ているはずなのに日中に眠気が強い、睡眠中にいびきや歯ぎしりがある、足にむずむず感があるといった場合は、専門家に相談することをお勧めします」と、チャービン氏はアドバイスしている。

Sleep data from over 220,000 people reveal global differences in weekly sleep variability and sleep extension (シンガポール国立大学 2023年8月29日)
Country differences in nocturnal sleep variability: Observations from a large-scale, long-term sleep wearable study (Sleep Medicine 2023年10月)
Shortening Sleep Time Increases Diabetes Risk in Women (コロンビア大学医療センター 2023年11月13日)
Chronic Insufficient Sleep in Women Impairs Insulin Sensitivity Independent of Adiposity Changes: Results of a Randomized Trial (Diabetes Care 2023年11月13日)
How to fall asleep faster: A step-by-step guide with advice from experts (ミシガン大学睡眠障害センター 2023年3月9日)
Choose Sleep (米国睡眠医学会)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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