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2020年04月09日
小児肥満が糖尿病・肥満・骨粗鬆症に影響 人生の早い段階から対策が必要
成人してからの肥満や骨粗鬆症を防ぐために、小児期から運動・食事を改善するのが効果的という研究が発表された。
子供の頃に身に付いた生活スタイルは、大人になってからも引き継がれることが多く、成人期以降の生活習慣病の発症に影響するという。
子供の頃に身に付いた生活スタイルは、大人になってからも引き継がれることが多く、成人期以降の生活習慣病の発症に影響するという。
小児期の肥満が成人後の不安やうつ病のリスクに
スウェーデンのカロリンスカ研究所の研究で、小児期の肥満は、成人してから不安、うつ病、早死のリスクの上昇につながることが明らかにされた。肥満の子供は、そうでない子供に比べ、成人してからの初期の死亡リスクが3倍高く、不安やうつ病にもなりやすいという。
世界で肥満の子供が数十年で増加している。世界保健機関(WHO)は、小児肥満を21世紀のもっとも深刻な公衆衛生の課題のひとつとして挙げている。これまでの研究で、小児肥満は成人してからの死亡率の上昇と関連があることが示されている。
研究では、肥満の小児が成人すると、一般集団の比較群に比べ、死亡するリスクが3倍に上昇することが示された。
研究チームは、3~17歳のある時点で肥満治療を受けた約7,000人の小児・若年者を対象に、平均3.6年追跡して調査し、年齢や性別、居住地域などが一致する3万4,000人と比較した。
その結果、小児肥満の群の0.55%が死亡した(平均年齢 22歳)のに対し、対照群では0.19%にとどまった。死亡のリスクの4分の1以上が肥満に直接関連していた。
「肥満の子供が成人すると早死のリスクが高くなります。小児期の肥満の危険因子を解明し、予防ツールを開発する必要があります」と、カロリンスカ研究所のエミリア ハグマン氏は言う。
人生の早い段階から肥満に対策する必要が
同研究所のもう1件の研究では、肥満が子供や青年の不安やうつ病のリスクの増加に関連していることが示された。肥満の女子では、一般人口の女子に比べ、不安やうつ病のリスクが43%高く、肥満の男子では33%高くなるという。
研究グループは、肥満の治療を受けた6〜17歳の1万2,000人以上の子供を対象に、一般集団の6万人の群と比較した。
「小児肥満は2型糖尿病、肝臓疾患、高血圧などに関連します。また、肥満の子供や青少年は差別を受けやすく、心理的問題につながるおそれがあます。肥満の子供にもメンタルヘルスケアが必要です」と、同研究所のルイーズ リンドバーグ氏は言う。
「不安とうつ病は、感情的・生理学的なストレスと苦痛を引き起こし、肥満治療の妨げにもなります。これらのリスクを軽減するために、肥満の子供に対し、人生の早い段階で適切かつ長期的な治療を提供することが重要です」と指摘している。
成長期に丈夫な骨をつくると、高齢化してから骨粗鬆症を予防できる
小児期から青年期にかけての成長期に、食事や運動などの生活スタイルを改善することで、年齢を重ねてから骨粗鬆症を予防できるようになるという研究も発表された。
2,800万人以上の米国人が骨粗鬆症を発症し、高齢化してから寝たきりのリスクを高めている。骨粗鬆症を予防するもっとも効果的な方法のひとつは、成長期に丈夫な骨を形成して維持することだ。
小児期から青年期にかけて、生活スタイルや嗜好を健康的に変えていけば、成人期から老年期にかけても、骨を健康に保つことができるようになると考えられている。
米国のタフツ大学などが実施している「BONES(Beat Osteoporosis - Nourish and Exercise Skeletons)プロジェクト」は、小学生などを対象に生活介入することで、丈夫な骨と筋肉を育み、成長してから骨粗鬆症のリスクを減少できるかを検証するための試験。
プロジェクトでは、マサチューセッツ州の10の多様なコミュニティの1年生と2年生の子供1,800人を対象に、60件の放課後プログラムに24ヵ月参加してもらい、その効果が調べられた。
「子供の頃に身に付いた生活スタイルは、大人になってからも引き継がれることが多く、成人期以降の生活習慣病の発症に影響します。骨粗鬆症を防ぐために、小児期から生活介入し、運動や栄養を改善するのが効果的と考えられます」と、タフツ大学栄養科学・政策学部のクリスティーナ エコノモス氏は言う。
肥満予防のための放課後プログラムが、生涯の骨粗鬆症予防につながる
骨粗鬆症の発症に強く関連する骨量はほとんどの人が青年期にピークに達するため、思春期前に骨量が少ないと成人後に骨粗鬆症や骨折のリスクが上昇するおそれがある。
研究グループは、6~9歳の1,434人の小学生を3群に無作為に分け、(1)放課後プログラムにより直接的に介入する群と、(2)それに保護者への介入を追加する群、(3)対照群に分け、ランダム化比較試験を行った。
放課後プログラムでは、骨の強化に焦点をあてた身体活動を週に85分、教材による学習を週に2回、カルシウムを多く含むスナック(カルシウムが380mg/日含まれる)を提供した。また、保護者にプログラムを提供する場合は、食事や運動などの生活改善の指導が行われた。
その結果、骨質の定量評価指数は、(3)の対照群では2.0669減少したのに対し、(2)の群では0.5682増加し、放課後プログラムにより骨が強くなることが示された。身体能力も向上し、(2)の群では垂直跳びの距離が延びるなど、体重負荷因子(WBF)スコアが改善した。
「肥満予防を促進する放課後プログラムにより、親や保護者の参加を合わせて、小学校の子供たちにサービスを提供することで、生涯にわたり骨粗鬆症を防げるようになる可能性が示されました。こうしたプログラムにより身体活動を促進し、骨を丈夫にする行動を強化できます」と、エコノモス氏は述べている。
Childhood obesity linked to higher risk of anxiety, depression and premature death(カロリンスカ研究所 2020年3月19日)Association of childhood obesity with risk of early all-cause and cause-specific mortality: A Swedish prospective cohort study(PLOS Medicine 2020年3月18日)
Anxiety and depression in children and adolescents with obesity: a nationwide study in Sweden(BMC Medicine 2020年2月21日)
Beat osteoporosis ? nourish and exercise skeletons (BONES): a group randomized controlled trial in children(BMC Pediatrics 2020年2月21日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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