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2014年10月10日

国民医療費が39兆円に増加 6年連続で過去最高を更新

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 国民が医療機関で病気やけがの治療を受けるのにかかった費用の総額を示す、2012年度の「国民医療費」は39兆2,000億円余りで、6年連続で過去最高を更新した。
65歳以上の医療費は65歳未満の4倍
 2012年度の「国民医療費」は39兆2,117億円で、前の年度に比べて6,267億円(1.6%)増え、6年連続で過去最高を更新した。

 国民医療費を国民1人当たりでみると、前の年度より5,600円増えて30万7,500円で、2年連続で30万円を上回った。年代別では、▽0歳から14歳が14万9,900円、▽15歳から44歳が11万3,000円、▽45歳から64歳が27万6,900円、▽65歳以上が71万7,200円となっている。

 負担割合が軽くなる75歳以上の高齢者が増えており、国民1人当たりの医療費は、65歳以上の医療費がおよそ72万円と、65歳未満の4倍以上となっている。

 国民医療費のうち、3割を占める後期高齢者医療給付分は12兆6,209億円で、伸び率も3.0%増と全体の倍近くに上り、医療費を押し上げている。

 医療費総額のうち7割は入院や外来に用いられる医科診療医療費で28兆3,198億円(1.8%増)。うち入院は14兆7,566億円(2.7%増)、外来は13兆5,632億円(0.9%増)と、入院の方が高い。

調剤医療費は6兆7,105億円
 患者の窓口負担の額は4兆6,619億円で、前年度より約800億円減った。国民医療費の財源別構成比で過去10年は14%前後を占めてきたが、12年度は11.9%まで下がった。

 薬局調剤医療費は6兆7,105億円で、1.2%増と低い伸びにとどまった。同医療費はおおむね5%以上の伸びを示す傾向にあるが、医薬分業が伸びが鈍化していることや2012年度薬価改定が影響したとみられる。

 傷病別に費やされた医療費を見ると、もっとも多いのが医科診療医療費の2割を占める循環器系疾患で、額にして5兆7,973億円だが、伸び率は0.1%。循環器系疾患に次いで多いのは新生物で、額にして3兆8,120億円で4.8%の高い伸びを示した。その伸びは65歳以上の高齢者患者が後押ししている。

糖尿病の医療費は1兆2,088億円
 医科診療医療費を主傷病による傷病分類別にみた場合、もっとも多かったのは「循環器系の疾患」で5兆7,973億円(構成割合20.5%)。以下、「新生物(がん)」が3兆8,120億円(同13.5%)、「筋骨格系及び結合組織の疾患」が2兆1,647億円(同7.6%)、「呼吸器系の疾患」が2兆1,507億円(同7.6%)、「腎尿路生殖器系の疾患」が2兆144億円(同7.1%)と続く。

 糖尿病の医療費は1兆2,088億円で、前年度に比べて64億円減った。総数は65歳未満で4,393億円なのに対し65歳以上では7,821億円で、65歳以上が3分の2を占めている。

 ただし、これらには糖尿病合併症の医療費は含まれておらず、それらを含む糖尿病の医療費全体ではもっと多い額になる。

平成24年度国民医療費の概況(厚生労働省)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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