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2014年02月21日
妊娠中は健康な食事と適度な運動が大切 体重増加に注意

妊娠前には糖尿病でなかったのに、妊娠中に慢性的に血糖値が高くなることがある。妊娠すると胎児の成長を促すホルモンが分泌され、その影響でインスリンの働きが低下する。母体はインスリンの分泌量を増やして対応するが、追いつかなくなると血糖値が高い状態が続いてしまう。これが妊娠糖尿病だ。
「4kg以上の赤ちゃんが生まれると、成長してから肥満や過体重などのリスクが2倍に上昇することが知られています。これらは、心臓病や2型糖尿病の原因になります。お母さんにとっても、胎児が大きくなりすぎ、難産になることが多くあります」と、オーストラリアのアデレード大学ロビンソン研究所のジョディー ドッド教授(産婦人科)は話す。
妊娠期間中に過体重や肥満を経験する女性は、全体の50%に上るという報告もある。食事や運動で体重をコントロールすることが重要だが、生活スタイルをどのように改善すれば効果的かを検証した研究は少ない。
ドッド氏ら研究チームは、2008~2011年に体格指数(BMI)が25以上で、妊娠10?20週の2,200人以上の妊婦を対象に臨床試験を行った。参加者を無作為に2群に分け、一方には専門のスタッフが付き、食事・運動などの生活スタイルを積極的に改善し、もう一方は通常の周産期ケアのみを行った。
その結果、巨大児が生まれてきた割合は、介入群で15%、対照群で19%となり、生活スタイルを改善した群で有意に少ないことが分かった。
妊娠中は、「胎児の成長のために」と食べすぎる女性が多く、それが肥満につながるとインスリンの働きが低下する。また、つわりによる食事の好みの変化や不規則な食事時間なども、血糖値の上昇につながりやすいという。
「今回の研究では、オーストラリアの健康ガイドラインに従って、生活の中で簡単に取り組めるシンプルで具体的な生活スタイル改善を行いました。日常生活のなかで、なるべく健康的な食事をとり、運動を増やすというものです」と、ドッド教授は話す。
治療中は食事の内容を日記につけるなど、食生活を見直し、ウォーキングなどの運動と組み合わせ、生活習慣を改善すると効果的だという。
Media Release: Pregnancy study leads to fewer high birth weight babies(アデレード大学 2014年2月14日)
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