ニュース
2012年03月02日
喫煙の健康影響は無視できない たばこを吸わないことが健康の条件
- キーワード
たばこを吸う習慣のある人は、さまざまな病気を発症しやすくなり、健康状態も悪くなりがちだ。最近では禁煙外来をはじめ、禁煙に関する相談に応じる窓口が増えている。
- 喫煙の健康影響は無視できない 喫煙によりほぼすべての臓器が害を受け、病気にもかかりやすくなり、健康状態は悪化する。一方で禁煙には、長期だけでなく即効性のメリットもある。禁煙することで病気のリスクが低くなり、健康状態も良くなる。
- 糖尿病と喫煙は相乗的に血管障害を促す 糖尿病の人への影響ではとくに血管障害が重要となる。糖尿病の合併症の多くは高血糖などによる血管障害を基盤に発症・進行し、たばこはそれを加速するように作用する。逆に考えれば、リスクをひとつでも減らせば、良い影響が出てくる。糖尿病の方は血糖コントロールに励むと同時に、(喫煙習慣のある人は)禁煙することが勧められる。
- 喫煙は病気 禁煙治療を受けよう 少し前まで禁煙は本人の自覚と克己心に頼る部分が大きかったが、最近は禁煙補助薬があり、禁煙カウンセリングなどを受けられる機会が増えている。禁煙補助薬を用いることで何も使わない場合に比べ、禁煙の成功率が高く、ニコチン離脱症状も軽減できる。「禁煙したいができない」という方は、まずは医師に相談してみよう。
- 禁煙への取組みはいつでもできる たばこをやめたい人のために医療機関に設けられた専門外来が「禁煙外来」。カウンセリングや生活指導といった精神面での禁煙サポートや、ニコチンガム・ニコチンパッチを使用したニコチン置換療法などによる禁煙治療が行われる。ニコチンガム・ニコチンパッチは薬局・薬店でも購入できる。最近では相談に応じる薬局も増えている。
- 「禁煙したら太るので良くない」というのは誤解 禁煙した人はよく「ごはんがおいしくなった」と言う。その結果、食べ過ぎて体重が増える人もいる。糖尿病の場合、確かに太るのはあまり良くはないが、食事療法をしっかり守っていれば、大きな問題になることはない。一般的には、たとえ禁煙し体重が少し増えたとしても、それによる悪影響は喫煙による害悪よりも小さいといえる。
- 喫煙しないことが健康の条件 脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患を今後の10年間に発症しない可能性がもっとも高いのは、「喫煙しない、節酒、適正体重」の人であることが、日本人を対象とした大規模臨床調査でも確かめられている。
厚生労働省研究班「多目的コホート研究(JPHC研究)」によると、50〜54歳の男性で、1日にたばこを40本吸い、週にお酒を日本酒2合相当以上飲み、BMI30以上の肥満というもっとも不健康な条件が揃っていると、もっとも健康な条件が揃っている人に比べ、10年間に脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患を発症する割合は4.8倍に、がんは2.8倍に達するという。
10年間に循環器疾患を発症する人の割合(男性)
厚生労働省研究班「多目的コホート研究(JPHC研究)」(2008年)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所