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2011年09月21日

低血糖を感知して知らせる「糖尿病アラート犬」

キーワード
1型糖尿病
 愛犬家にとって犬はかわいいペットだが、専門のトレーニングを積み、盲導犬や介助犬など社会福祉の分野で活躍する犬も多数いる。嗅覚の優れた犬の特性を、糖尿病治療に役立てようというプロジェクトが米国で行われている。

 米国で行われている「リッチモンド糖尿病アラート犬育成プログラム」(Richmond Diabetic Alert Dog Program)は、嗅覚の優れた犬の特性を、小児糖尿病患者の医療に役立てようという試みだ。

 1型糖尿病は、免疫機能が自分の体に対して働いてしまう自己免疫疾患などが原因で、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊されて発病するタイプの糖尿病。2型糖尿病と異なり、生活習慣と関係なく発病する。米国で1型糖尿病が糖尿病全体に占める割合は約5%。

 小児・若年期に1型糖尿病を発病することが多く、体外からインスリンを補わないと生命を維持できない「インスリン依存状態」になるので、インスリン療法が欠かせない。

 インスリンや薬物療法を行っている人で、薬の作用が強く現れると、血糖値が正常範囲より低下する「低血糖」におちいることがある。砂糖やブドウ糖などの糖分を口にすると血糖値は上昇し回復するが、意識障害や昏睡に陥っている場合は周囲の的確な対処が必要となる。

糖尿病アラート犬
画面をクリックするとビデオ再生が開始されます
 ビデオで紹介されている女の子は、2008年に1型糖尿病と診断された。彼女は毎日インスリンを注射し、血糖自己測定を行う必要がある。小さい頃は両親がついていないと、学校や遊びに外出するのもままならない生活が続いていた。

 そこに糖尿病アラート犬(ウォレン・レトリーバー)というヒーローが現れた。特別に訓練された糖尿病アラート犬の入手には約2万ドルかかり、保険の適用にならない。両親は、友人、家族、地域コミュニティで寄付を募り費用を賄った。

 犬のトレーナーによると、犬の嗅受感覚器の数はヒトのおよそ1000倍だという。鋭い嗅覚により低血糖やケトアシドーシスを嗅ぎ分け、深夜のベットや外出先で少女に異変が起きていれば、肘を軽く突くことで意識を確認する。何も反応がなければ、保護者を呼びにいき、周囲の注意を引き付けるために奔走する。

 緊急時には911に信号を送ることもできるという。少女の家にこのウォレン・レトリーバーがきた日から、彼女は夜に1人で安心して眠ることができるようになり、日中の活動もより活発になった。それまでは両親が隣に寝ており、夜中に起きて血糖測定を行い、低血糖が起きていないかを調べる必要があった。

リッチモンド糖尿病アラート犬育成プログラム

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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