ニュース
2010年12月13日
子供の身長や体重の伸びは頭打ち 肥満傾向の子供が10人に1人
- キーワード
子供の身長の伸びがとまったが、肥満傾向児の割合は低下してきた――。文部科学省が12月9日に公表した「2010年度学校保健統計調査(速報値)」で、こんな最近の子供たちの傾向が示された。
調査では、今年4〜6月に、全国の幼稚園と小中高校の計7755校から5〜17歳の対象者を抽出し、約69万人の発育状況と約335万人の健康状態を調べた。
子供の身長や体重の伸びは頭打ち
2010年度学校保健統計調査(文部科学省)
肥満傾向児も減少したが、1割は「太りぎみ」
肥満傾向児の割合も、2001年度前後をピークに減少が続いている。食生活や運動を中心とする生活習慣指導が、学校で家庭で広がった影響もあるとみられる。
肥満傾向児の割合は、男子では6歳、8歳から10歳、12歳から14歳で、女子では7歳から10歳、12歳から14歳、16歳、17歳で、前年度より低下した。算出方法を変更した2006年度以降は一貫して低下傾向が続いている。
肥満傾向の子供は2006年度と比べると、男子では17歳で12.90%から11.30%に、11歳で11.82%から11.09%に減少した。女子でも17歳で9.67%から8.14%に、11歳で9.95%から8.83%に減少した
しかし、肥満傾向の子供が減ってきたといっても、ここ30年の間でみると2〜3倍に増えている。2010年度調査では、特に男子では10〜12歳、15〜17歳で10%を超えており、女子でも10歳〜12歳、15、17歳で8%を超えた。国民健康・栄養調査でも、子供の「体格の変化」として、「肥満」や「太りぎみ」の子供の割合は高いことが示されている。
年齢別肥満傾向児・痩身傾向児の出現率(%)
2010年度学校保健統計調査(文部科学省)
男子 | 女子 | |||
---|---|---|---|---|
肥満傾向児 | 痩身傾向児 | 肥満傾向児 | 痩身傾向児 | |
10歳 | 10.37 | 2.36 | 8.13 | 2.61 |
11歳 | 11.09 | 2.55 | 8.83 | 3.08 |
12歳 | 10.99 | 2.30 | 8.92 | 3.92 |
13歳 | 9.41 | 1.53 | 7.96 | 3.84 |
14歳 | 9.37 | 1.48 | 7.89 | 3.09 |
15歳 | 12.40 | 2.11 | 8.59 | 2.37 |
16歳 | 11.57 | 1.91 | 7.81 | 2.40 |
17歳 | 11.30 | 1.67 | 8.14 | 1.81 |
肥満の原因は生活リズムの乱れか
肥満の原因となるのは食生活の変化や生活リズムの乱れだ。子供の生活リズムが「夜型」になっていると報告されている。日本小児保健協会が2000年に行った「幼児健康度調査」によると、「夜10時以降に就寝する」こどもの割合は、1歳児〜3歳児で半数を超えており、10年前の調査と比べると、2倍以上に増加していた。
子供の生活も夜型傾向になっている背景として、大人の生活リズムとの同調が大きいとみられる。携帯電話や、家庭用ゲーム機や携帯ゲーム機、インターネットなどの普及も影響している。
こうした傾向は子供の視力低下にもつながる。学校保健統計調査の健康状態の調査では、「裸眼視力1.0未満」の子供が増えていることが示された。視力1.0未満の割合を、2000年度と2010年度とで比べると、小学校では25.33%から29.91%へ、中学校では49.99%から52.73%へと、それぞれ増加した。
肥満・痩身傾向児
肥満・痩身傾向児については、2005年度まで、性別・年齢別に身長別平均体重を求め、その平均体重の120%以上の体重の者を肥満傾向児、80%以下の者を痩身傾向児としていたが、18年度から、性別、年齢別、身長別標準体重から肥満度を算出し、肥満度が20%以上の者を肥満傾向児、マイナス20%以下の者を痩身傾向児としている。
肥満度の求め方は以下のとおり。
肥満・痩身傾向児については、2005年度まで、性別・年齢別に身長別平均体重を求め、その平均体重の120%以上の体重の者を肥満傾向児、80%以下の者を痩身傾向児としていたが、18年度から、性別、年齢別、身長別標準体重から肥満度を算出し、肥満度が20%以上の者を肥満傾向児、マイナス20%以下の者を痩身傾向児としている。
肥満度の求め方は以下のとおり。
肥満度(過体重度)=〔実測体重(kg)-身長別標準体重(kg)〕/身長別標準体重(kg)×100(%)
平成22年度学校保健統計調査(速報)(文部科学省)
平成12年度幼児健康度調査報告(日本小児保健協会)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所