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2010年07月20日

地域連携パスで診療所に栄養士を派遣 【石川県】

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 石川県南加賀地区の医療機関が糖尿病患者の診療情報を共有し、より効果的に治療を継続できる仕組み作りを目指す「南加賀かけはしネットワーク」は、南加賀地区の開業医に派遣された管理栄養士が栄養指導を行う事業を始める方針を固めた。

 2型糖尿病は有病数が急増していることから特に注目されている。糖尿病が強く疑われる人や可能性を否定できない「予備群」を合わせた数は2200万人で、5年間で600万人も増えた。

 糖尿病は適切な治療を受けないでいると、失明や腎不全などの合併症が引き起こされ、心臓、脳の血管の動脈硬化が促され心筋梗塞、脳卒中などの危険性も高くなる怖い病気だが、早期発見し適切な治療を続ければ合併症を予防できる。

 しかし現状では、40歳以上で糖尿病の疑いが強いにもかかわらず、「現在、糖尿病の治療を受けていない」という人も半数近くいるとみられている。

医療機関の得意分野を活かした糖尿病治療
 より良い糖尿病治療を促進するために、糖尿病を検査で早期発見し、治療や合併症の予防を開始、さらに合併症が起こったときの専門的な治療まで、一体的に対策する必要があると考えられている。そこで、各地域で医療機関などが医療連携する地域連携クリティカルパスが作成されることが多くなっている。

 「地域連携クリティカルパス」は、糖尿病を早期発見し治療を始め、より適切に管理・治療を継続し糖尿病合併症を予防するために、複数の医療機関が関わる一貫した「治療計画」を示す。また、「循環型地域連携パス」はかかりつけ医や、専門医が診療する病院が共有し、定期的に往き来するパスのこと。

 例えば、半年に1回、または患者が一定以上悪化した場合などに、専門医のいる病院に紹介。専門医による検査や短期的な治療の後に、パスを添えて診療所などに戻す仕組みなどが考えられている。

 地域連携医療が患者にもたらす利点は多くある。治療方針や内容、検査値、薬物療法、指導内容などが含まれる治療計画を、かかりつけ医、専門医、薬局などで共有することで、効率的で質の高い一貫した治療と指導をできるようになる。

 また、かかりつけ医と専門医などが連携することで通院しやすい環境ができ、良好な血糖コントロールや合併症の抑制を期待できる。「患者にとって治療の流れが分かりやすくなり安心できる」という声も聞かれる。糖尿病の医療費の軽減にもつながると期待されている。

医療機関が連携することで効率的で質の高い医療を実現
地域連携パスで管理栄養士を派遣
 そうしたなか、石川県南加賀地区の「南加賀かけはしネットワーク」(事務局・小松市民病院)は、南加賀地区の開業医に派遣された管理栄養士が栄養指導を行う事業を始める方針を固めた。同ネットによると、糖尿病治療では食事療法での栄養指導が重要だが、管理栄養士のいない診療所では指導が難しい場合もある。そうしたとき患者はほかの病院などに教育入院などで足を運ぶ必要があった。

 同ネットには病院や診療所などの糖尿病専門医、かかりつけ医(内科・眼科・歯科)、調剤薬局など約200の医療機関が参加している。南加賀保健福祉センターが作成した地域連携パスは2009年から活用されている。管理栄養士の派遣は、診療所などの医師の要望に応じて行う方針としている。

 糖尿病治療では、医師に加えて管理栄養士や看護師、薬剤師らが総合的に治療に取り組むチーム医療が重要。同ネットの事業では、派遣された管理栄養士は医師とともに患者を指導する。同ネットに参加する開業医が管理栄養士の派遣を希望する例は多いという。

 複数の自治体にまたがる広域二次医療圏で派遣事業を行う例は全国でも少なく、同県では初めて。さらに、同ネットは地域連携パスのデータ集計・分析も本格的に始める予定だ。

南加賀糖尿病地域連携クリティカルパス(石川県)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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