ニュース

2009年12月28日

味の好みによる体重増加の違い 「甘い味」が好きな人は要注意?

キーワード
 「こってり味」や「甘い味」を好む人は、そうでない人に比べ体重増加が多い傾向がある。気になる人は20歳を過ぎた頃からの自分の体重の変化に注意し、若いときから食生活を振り返った方が良い。―体重の増加に味の好みが関連しているという研究が発表された。

 この研究は、厚生労働省研究班「多目的コホート研究(JPHC研究)」(主任研究者:津金昌一郎・国立がんセンターがん予防・検診研究センター予防研究部長)の一環として行われたもの。岩手・秋田・長野・沖縄に住む日本人男女約3万人の参加を得て実施した。調査を開始した1990年の時点での参加者の年齢は40歳から59歳。

 加齢にともなう肥満は、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症、心血管病などのリスク要因となる。生活習慣病を予防・改善するために、肥満の減少が目標の1つに掲げられている。肥満は食事(エネルギー摂取量)と身体活動(エネルギー消費量)のアンバランスにより起こり、食事でエネルギー量をとりすぎると肥満になりやすい。そのため、食事ではエネルギー量と栄養バランスを良くするために、「食べるときは腹八分目まで」「食品の種類をなるべく増やす」「野菜や海藻、きのこ類を十分にとる」「脂肪を控えめに」といったことが勧められている。

 食物の選択に影響する環境や嗜好などさまざまな要因の中で、味の好みは比較的早い時期に形成されるとみられている。そこで研究チームは、20歳から調査開始時までの体重増加、調査開始後の10年間の体重変化を調べ、どのような味の好みをもっている人が肥満になりやすいかを比較検討した。

ベースライン調査時から10年間の体重変化

多目的コホート研究(JPHC Study)
 こってり味と甘い味が「嫌い」と答えた人を基準として、「どちらでもない」「好き」と答えた人の、20歳から調査開始時までの5kg以上の体重増加の比率を求めた。その結果、こってり味が「好き」と答えた人は「嫌い」と答えた人に比べ、肥満の比率が男性で1.45倍、女性で1.28倍、高くなることが分かった。また、「どちらでもない」と答えた人でも、男性では1.13倍、女性では1.11倍、比率が高くなっていた。甘い味の好みで比較したところ、女性では「嫌い」と答えた人に比べて、「好き」と答えた人は1.22倍高くなっていた。

 さらに、調査開始時からその後10年間の体重変化を調べた。こってり味、甘い味の回答別に、調査開始時からその後の10年間の体重変化量を調べ、「嫌い」と答えた人を基準に、「どちらでもない」「好き」と答えた人と比較した。その結果、こってり味では有意差がみられなかったが、甘い味では、男女とも「好き」「どちらでもない」と答えた人では、体重がより増加する傾向がみられた。

 今回の研究では、こってり味や甘い味といった嗜好は、男女ともに20歳からの体重増加と関連があることがあきらかになり、特に甘い味を好む女性では、10年後の体重増加に影響を及ぼす傾向があることが示された。研究チームでは「肥満対策は、味の好みも考慮し、20歳以前の早期から行うことの大切さが示唆された」と述べている。研究結果は医学誌「International Journal of Obesity」に発表された。

厚生労働省研究班「多目的コホート研究(JPHC Study)」
Taste preferences and body weight change in Japanese adults: the JPHC Study
(International Journal of Obesity, 33, 1191-1197; 2009, July 28)

関連情報
中年太りの男性は心疾患のリスク2倍に 厚労省研究班(日本生活習慣病予防協会)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲