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2009年12月08日
半数が糖尿病は「ビジネス上でハンデ」 健康日本21推進フォーラム調査
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働き盛りの年代の2型糖尿病患者の2人に1人はビジネス上で“ハンデ”を感じ、およそ4割が糖尿病であることを仕事の関係者に打ち明けていない。また、糖尿病の治療について、勤務中の低血糖症経験がない人でも4割以上が低血糖に対し不安を感じている―― 2型糖尿病をもっている40〜60歳代のビジネスマンを対象とした調査でこんな結果が出た。
調査は、厚生労働省の国民健康づくり運動「健康日本21」を支援する「健康日本21推進フォーラム」(理事長:高久史麿・自治医科大学学長)が実施したもの。2型糖尿病と診断されるボリュームゾーンである40〜60歳代のビジネスマン400人(男女各200人)を対象に今年10月に実施した。 調査結果の主な内容は次の通り―
- 2人に1人(51%)が糖尿病によりビジネス上で“ハンデ”を感じており、「精神負担」を感じている人の割合も過半数(51%)に上る。全体のおよそ4割(37%)が、糖尿病であることを仕事の関係者に知らせておらず、その理由は、「プライベートのことを話す必要はない」(72%)がもっとも多く、「病気だと思われたくない」(40%)、「偏見、差別が心配」(32%)と続く。
- 糖尿病であるための仕事上の不安を感じている人は3人に2人(67%)。仕事上で不安を感じる瞬間のトップ3は、「糖尿病の怖さを知ったとき」(31%)、「薬をのみ忘れたとき」(24%)、「飲み会・宴会(接待)」(24%)。「低血糖など副作用が起きたとき」の割合は21%で4位に挙げられた。
- 通勤中を含む勤務中に「低血糖症」を起こした経験がある人はおよそ2割(23%)。低血糖を起こした場面は「食事をする時間が遅くなったとき」「昼食の少し前」「前の食事が少なめだったとき」「力仕事をしたとき」「多忙だったとき」など。
- 低血糖症の経験がない人でも、4割以上(44%)が低血糖症に対し不安を感じており、「低血糖症」が起きてほしくない場面は「運転中」(63%)、「電車・バスの中(51%)」など移動中が多い。
- 現在の治療でもっとも気になるのは「脳梗塞、失明、心筋梗塞などの合併症」(60%)。以下は「治療の長期化」(41%)、「肝障害、腎障害などの障害」(39%)、「治療がインスリン注射に切り替わること」(28%)、「神経障害」(27%)、「新型インフルエンザ」(26%)と続く。
- 医師の治療指示や指導で守れているものについては、「薬の服用に関する指導」は8割近く(79%)の人が守れているものの、「飲酒に関する指導」(50%)、「喫煙に関する指導」(46%)といった生活習慣の管理については50%程度に減少する。また、「運動の指導」(35%)、「食事の指導」(35%)は忙しいビジネスマンには取り組みにくい項目のようだ。
- 医師の治療指示・指導が守れない理由は、「運動するのが面倒」(49%)、「外食時に食べ過ぎてしまう」(40%)、「間食がやめられない」(37%)、「食事制限が辛い」(36%)が多く、糖尿病療養で必要な自己管理の難しさが窺える結果になった。「仕事上、宴席(接待)等に出席しなければならない」(29%)、「深夜まで残業しなければならないことがある」(22%)など仕事の都合上やむえない理由は特に男性で多かった。
- 治療を継続するために必要だと思うものは、基本的には「自身の意欲」(93%)だが、およそ半数が「医学の進歩」(54%)、「家族の理解・協力」(54%)、「新薬の開発」(48%)が必要と回答。治療が継続できるために医師に望むことトップ3は、1位「適切な指導」(59%)、2位「丁寧なインフォームド・コンセント」(48%)、3「治療薬の選択肢とその説明」(42%)。
- 新薬に対する受容度はおよそ8割(78%)と高く、新薬の服用に対して意欲的な人が多い。糖尿病の画期的な新薬が日本で発売された場合、どのような薬剤なら安心して服用できるかを聞いたところ、「国内・国外に関わらず、どんな新薬でも試してみたい」(31%)、「海外で実績がある薬剤」(27%)と、積極的な意見をもつ人が多くみられた。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所