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2009年08月27日

【新型インフルエンザ】 基礎疾患のある患者の分もワクチンを確保 厚労省

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 新型インフルエンザのワクチン優先接種の方針について、政府は重症化リスクが高いとみられている基礎疾患(慢性呼吸器疾患、糖尿病など)のある患者、乳幼児や妊婦、小中高生や高齢者、診療に当たる医療従事者(医師や看護師など)の分を確保する方針を固めた。また、重症事例などを集めた症例集を医療機関に配布し、医療機関が対応できるよう都道府県にも周知を徹底する。
ワクチン接種の優先順位は9月中に決定
 ワクチンの確保目標は合計5300万人分で、▼インフルエンザの診療に当たる医療従事者(医師や看護師など)(100万人)、▼基礎疾患のある人(1000万人)、▼乳幼児(600万人)、▼小中高校生(1400万人)、▼妊婦(100万人)、▼65歳以上(2700万人、基礎疾患のある人の重複を除く)が内訳となっている。

 国内ワクチンの出荷は10月下旬から可能になるとみられている。新型インフルエンザワクチンに関する意見交換会を開き、専門家と接種の具体的方法、優先順位、輸入などについて検討しており、9月中に決定する見通し。

 ワクチンの安全性を確かめる治験は始められているが、製造の元になるワクチン株の増殖能力が弱く、国産で準備できるのは1300〜1700万人分にとどまる見通しで、接種の優先順位が重要となる。また、足りない分は輸入ワクチンでカバーし、国内での臨床試験などを省略できる薬事法の「特例適用」も検討する。

 予防接種法の対象となる疾病は「一類疾病」と「二類疾病」に分かれる。一類は定期の予防接種でジフテリアや麻しんなどの流行を予防するため接種を行う努力義務を定めているが、新型インフルエンザの予防接種は季節性インフルエンザと同じ二類となる。季節性インフルエンザの予防接種の場合、比重は個人予防にあり、接種費用は自己負担となる。負担額は3000円〜5000円程度と幅がある。

 そこで政府は、新型インフルエンザについは、ワクチンのメーカーからの購入を国庫負担にすることを検討するなど、自己負担額が高額になるのを抑え予防接種を受けたい人が受けられる体制にしたい考えだ。

 また、輸入ワクチンは国内ワクチンに含まれていない補助剤を使い製造しているなど、副作用の危険性がある。季節性インフルエンザの定期予防で副作用など健康被害が起こった場合は、原因が法定の予防接種であれば予防接種法による被害救済の対象となる。新型インフルエンザの予防接種では、政府が補償制度を構築する方針を示している。舛添要一厚生労働相は会見で「ワクチンを接種しないでインフルエンザに罹るリスクと、ワクチンを接種し副作用が起こるリスクについて、一定の考慮をする必要がある」と述べている。

秋冬に向けた新型インフルエンザ対策
 通常のインフルエンザ(季節性インフルエンザ)は、毎年秋以降に流行する。今年は新型インフルエンザが発生しており、秋以降には季節性インフルエンザと新型インフルエンザが重なって流行するおそれがある。新型インフルエンザを予防するためのワクチンの早期接種のための環境整備が急がれているが、現在のところは季節性インフルエンザのワクチンしか存在しない。そのため、ウイルスの感染予防のために、手洗い・うがいをしっかりすることが大切となる。

 また、ウイルスは粘膜を通して感染するため、鼻や口などを触らないようにすることや頻回の手洗い、感染防止のための咳やくしゃみの際の「咳エチケット」、マスクの着用、国内で発生が認められたときに特に人が集まる場所への必要のない外出を避けることも効果的とされている。

 抗インフルエンザウイルス薬(タミフル・リレンザ)の投与が、新型インフルエンザの主な治療法となる。感染したほとんどの人は比較的軽症のまま数日で回復しているが、糖尿病など基礎疾患のある人では、感染することで重症化するリスクのある人がいることが、ある程度わかってきた。

 国立国際医療センター戸山病院 糖尿病・代謝症候群診療部では、糖尿病患者の新型インフルエンザの対応についてインターネットで公開している。「感染が疑われる症状がみられたら、新型インフルエンザを想定しての対応と、シックデイに関しての対応が必要となる場合がある。早めにかかりつけの主治医に相談して欲しい」と呼びかけている。

 身近に新型インフルエンザに罹患した人がいる場合や、発症者と濃厚な接触があったと考えられる場合にも注意が必要だ。「自身の症状に注意を払い、変化があったと思われるときには早めに医療機関に相談し、抗ウイルス薬の投与を含めて検討する必要がある」としている。

 気になる糖尿病患者の新型インフルエンザの感染について、米ニューヨーク市が情報を公開している。7月の時点でニューヨーク市で新型インフルエンザによって909人が入院し、うち114人(13%)は糖尿病だった。もっとも多かった疾患は喘息(268人・29%)で、以下は心疾患(105人・12%)、喘息以外の呼吸器疾患(102人・11%)、慢性の肝臓病や腎臓病(71人・8%)と続く。

 日本のような国民すべてが公的医療保険に加入できる制度は米国にはなく、ニューヨーク市では入院の基準が厳しいためにインフルエンザが重症化した患者が多かった可能性がある。しかし、入院患者全体の8割が基礎疾患など何らかの危険因子をもっており、2歳以下の乳幼児や妊婦、65歳以上の高齢者の重症化例も報告されているので、該当する人は十分に注意をする必要がある。

厚生労働省が公開しているビデオ(YouTube)
 厚生労働省はインフルエンザに感染している可能性がある人が、医療機関を受診する方法や、他の人にうつさないようにしながら自宅療養する方法について解説している。

新型インフルエンザの関連情報

新型インフルエンザ対策関連情報(厚生労働省)
新型インフルを知るために(厚生労働省)
国立感染症研究所 感染症情報センター
国立国際医療センター 戸山病院 糖尿病情報センター
新型インフルエンザ糖尿病のある方の新型インフルエンザ対策(患者・一般向け、医療関係者向け)
糖尿病と感染症(糖尿病セミナー)
日本感染症学会 緊急提言「一般医療機関における新型インフルエンザへの対応について」
糖尿患者さん向けのインフルエンザ対策啓発ポスター(A4サイズのPDF)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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