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2009年08月26日
GLP-1受容体アゴニスト「エキセナチド」を承認申請
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日本イーライリリーは8月12日付で、2型糖尿病治療薬として「エキセナチド」(一般名、エキセナチドの米国での製品名は「Byetta」)の承認申請を行ったと発表し た。エキセナチドは「GLP-1受容体アゴニスト」と称されるこれまでにない新しいタイプの糖尿病治療薬。インスリン注射よりも簡便に血糖コントロールができる新しい治療選択肢として期待されている。
世界初のGLP-1受容体アゴニストの2型糖尿病治療薬である「エキセナチド」は、体内の血糖値に応じて作用し、高血糖の時にのみ膵臓からのインスリン分泌を促進するため、インスリン治療に比べて低血糖発現率が低いことが特徴となる。1日2回投与で、経口糖尿病治療薬との併用で使用し、持続的な血糖コントロールと低い低血糖症発現率を達成し、体重減少をもたらすことが確認されている。
国内の第2相と第3相臨床試験では、エキセナチドが日本の糖尿病患者についても良好な血糖コントロールに導くこと、特に食後高血糖の改善をもたらすことや、体重コントロールに有益であることが証明された。安全性に問題はなく忍容性は良好だった。
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、ヒトの体内に存在する消化管ホルモンで、膵臓の他に胃、肝臓、脳に対しても作用し、食後の血糖値を調整する。エキセナチドは、体内に存在するGLP-1と同様に、GLP-1受容体に結合することでGLP-1作用を発揮するため、「GLP-1受容体アゴニスト」と称される(アゴニストは、生体内の受容体に働いて神経伝達物質やホルモンなどと同様の作用を発現する作動薬のこと)。
エキセナチドは2005年に米国で発売されて以来、すでに世界60ヵ国以上で100万人以上の患者の治療に用いられている。
このページの記事は日本イーライリリー(株)が2009年8月17日付で発表したプレスリリースを参考にしています。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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