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2009年08月25日
レベミルの安全性プロファイルを確認「がんのリスクを高めない」
「レベミル」は、1日1回投与*でほぼ1日にわたって血糖降下作用が持続する持効型溶解インスリンアナログ製剤。他の基礎インスリン製剤に比べ投与ごとの血糖降下作用のばらつきが少ないことや、空腹時血糖値を安定させること、夜間低血糖の頻度を高めることなく、朝食前空腹時血糖値を低下させることが特徴となる。レベミルは、欧州では2004年、米国では2005年に承認され、日本でも2007年に発売された。
インスリンが細胞膜にあるインスリンと結合する部分(受容体)へ結合すると、血液中のブドウ糖がその細胞に取り込まれ血糖値が下がる。インスリン製剤を注射する治療法であるインスリン療法は、この血糖降下作用により血糖コントロールを行っている。一方、インスリンはIGF-I(インスリン様成長因子-I)受容体にも結合する。IGF-1は細胞増殖、成長促進など、さまざまな働きをする因子で、IGF-Iの働きが活発になると悪性腫瘍を増殖させるおそれがある。
「レベミル」は、インスリン受容体に比べたIGF-1受容体への相対的な親和性がヒトインスリンと同程度か低いという要件を満たしたうえで開発されている。ノボ ノルディスクの発表によると、レベミルについては、承認の取得以降、安全性の調査監視(モニタリング)を厳格に行っており、現在までに悪性腫瘍の発生率が増大する兆候は認められていないとい
さらに同社では、レベミルと中間型インスリン(NPHインスリン)の投与に伴う悪性腫瘍の発生率を比較するため、レベミルの無作為化比較試験の結果から21の試験を用いたメタ解析を行った。レベミル投与群とNPHインスリン投与群における悪性腫瘍の発生率を比較したところ、両者の間で有意差は認められなかった。また、この発生率を評価するため、悪性腫瘍とインスリン製剤による投与期間を解析したところ、レベミル投与群とNPHインスリン投与群の間に有意差は認められなかった。これらの研究結果は、欧州糖尿病学会(EASD)の学会誌「Diabetologia」オンラインで発表され
最終的な結論は出ておらず、欧州医薬品審査庁(EMEA)、米国食品医薬品局(FDA)、欧州糖尿病学会(EASD)、米国臨床内分泌学会(AACE)は、さらなる評価が必要としている。同社は「レベミルの投与がヒトインスリンの投与と比べ、悪性腫瘍のリスクを高めることはないということを確信している」としている。
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