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2009年07月13日
アジア人の糖尿病 カンボジアで治療を受ける糖尿病患者さん
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糖尿病をめぐるアジアの現状を報告する。
「カンボジアには適切な治療を受けずに早く亡くなってしまう患者さんが大勢いる。また、1型糖尿病の子供は、ほとんどの場合で生き続けることができない」。
ロン ラーブ氏は2000年から06年まで国際糖尿病連合(IDF)の副理事長を務め、現在はインスリンや試験紙などの糖尿病の医療資材の途上国への支援を行うプロジェクトチームの委員になっている。自身が1型糖尿病患者であるラーブ氏は1999年にIFLを設立し、高価なインスリンを得られず十分な医療を行えない途上国を中心に国際的な支援活動を展開してい
活動内容は、先進国で廃棄される予定のインスリンや糖尿病の医療資材を集め、途上国に送付すること。オーストラリアに本部をおき、オーストリア、ドイツ、ニュージーランド、英国、米国などに集配センターを設けた。「最小のコストで途上国の糖尿病患者さんの命を救うことができる」とラーブ氏は話
カンボジアでは、インスリンを含む糖尿病の医薬品、その他の医療資材の供給を、政府の医療保険や補助金で支援する体制はできていない。糖尿病患者は自費で診療を受けなければならない。政府の医療に対する支援の多くは、エイズなどの感染症に費やされ、糖尿病などの慢性疾患はおろそかになりがちだ。

1人1日当たり2米ドル(約190円)未満の医療費があれば、カンボジア人のほとんどが最小限の医療を受けることができるが、実際には糖尿病の医療体制の整備はようやく着手されはじめた段階だ。カンボジア政府は最近になり糖尿病対策に乗りだしたが、現状では患者は公立病院や保健所で糖尿病の治療を受けることができない。
非政府系のクリニックがいくつか開設され、糖尿病専門のクリニックもある。プノンペンのシアヌーク病院ホープ医療センターでは、外来診療と入院診療を受けることができ、糖尿病腎症や心血管疾患といった糖尿病合併症の長期的な医療も提供しているが、それは緊急の場合が多い。多くの患者は、外来で2ヵ月や3ヵ月ごとに糖尿病の治療を受けている。世界糖尿病財団は5つの州で、地域の基幹となる糖尿病クリニックを支援してい