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2008年06月25日
インスリン療法で食後血糖値を管理 心血管障害を43%抑制
- キーワード
- 医薬品/インスリン
ノボラピッド®の頻回注射療法群と、速効型ヒトインスリン製剤の頻回注射療法群に無作為に分け、5年間の追跡調査を行った。主要評価項目は、突然死、脳卒中、急性心筋梗塞や心不全といった心血管イベントの発症率とした。
その結果、ノボラピッド®を使っていた患者は速効型ヒトインスリン製剤を使っていた患者と比べ、HbA1cは同程度で、朝食前空腹時血糖値も有意差はなかった。
しかし食後90分の血糖値は、ノボラピッド®群が194mg/dLだったのに対し、速効型ヒトインスリン製剤群は253mg/dLと有意に高かった。心血管障害の発症率は、ノボラピッド®群が6.4%だったのに対し、速効型ヒトインスリン製剤群は11.1%で、年齢性別などを補正した結果、心血管障害の発症率が43%低いことが世界で初めてあきらかになった。
インスリンの追加分泌が不足していたり、血糖値上昇に対する反応が鈍くて追加分泌のタイミングが遅れると、食後高血糖になる。食後高血糖があると動脈硬化が進行しやすく、特に心血管疾患障害の危険が高くなることが知られている。
ノボラピッド®などの超速効型インスリンアナログ製剤は、ヒトインスリン製剤に比べ、効果が現れるのが早く作用時間は短いというメリットがある。こうしたインスリン製剤が治療に使われるようになり、より積極的に食後高血糖を抑えることができるようになった。
研究を行った大阪府済生会中津病院の西村治男氏は「超速効型インスリン製剤を効果的に使うことで、2型糖尿病患者の心血管障害の発症をより予防できることがあきらかになった。2型糖尿病患者にとって非常に有益な結果だと考えます」と話している。
この試験結果は、5月に開催された「第51回日本糖尿病学会年次学術集会」と、6月に発表された「第68回米国糖尿病協会年次学術集会」で発表された
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