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2008年02月18日
インドでも糖尿病が急増 アジア人は糖尿病になりやすい
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生活習慣と関連の深い2型糖尿病は、以前は肥満や過食のイメージがつきまとい「贅沢病」といわれることも少なくなかった。しかし、現在では途上国でも急増している。
国際糖尿病連合(IDF)の予測
インドでも社会環境が激変
インドは、糖尿病有病数が4,100万人と世界でもっとも多くの糖尿病患者を抱える国だ。森田繰織・国際糖尿病支援基金会長は「インドのような比較的貧しい国で2型糖尿病が猛威をふるっているのは、社会環境の変化の影響が大きい」と指摘している。
ナグプール(インド)の街路
クルマやバイクが普及している
シャラッド・ペンデセイ博士 国際糖尿病支援基金が支援している
インドの糖尿病患者たち
大多数の患者は高い医療費を支払えない
わが友、糖尿病-インドへの旅
森田さんは昨年12月、インドの糖尿病患者のおかれた現状を視察してきた。森田さんが訪れたナグプールは、人口250万のインド中央部に位置する地方都市だ。インドは経済発展が著しく、ライフスタイルが急速に変化している。
ナグプールでも富裕層向けの高級飲食店、ファーストフード店などが増えており、野菜を多くとる伝統的な食生活が失われ、油や肉など脂肪の摂取が増えている。また、自動車やバイクの普及といった移動手段の変化や、機械化による身体活動量の低下も影響している。
クルマやバイクが普及している
シャラッド・ペンデセイ博士 国際糖尿病支援基金が支援している
インドの糖尿病患者たち
大多数の患者は高い医療費を支払えない
わが友、糖尿病-インドへの旅
アジア人は「やせていても糖尿病」
2型糖尿病の急増は、遺伝的な要因にも起因している。アジア人は欧米人と比べ、遺伝的に2型糖尿病を発症しやすいことが従来から指摘されている。ナグプールのクリニックで糖尿病患者を診療している糖尿病専門医、シャラッド・ペンデセイ博士によると、「肥満による糖尿病の発症は欧米人ではBMI(肥満指数)25〜26から上昇するが、インドではBMI22から上昇しはじめる」という。
ペンデセイ博士は、月間約3,500人の糖尿病患者を診療している。ほとんどの患者は3カ月ごとの診察であり、診察している患者総数は約1万500人、うち1型糖尿病は約300人。「2型糖尿病でインスリン療法が必要な患者は少なくない」という。
都市化が進むナグプールには、地方から出てくる人も多い。都会生活のストレスは地方出身者の糖尿病の発症増加の一因となっている。ペンデセイ博士は「医療体制が整備されていないことが、糖尿病患者の置かれた状況をより厳しくしている」としている。
インドの保健・医療システムは、糖尿病など経済の発展にともない急増した病気に対応できていない。インドでは一部の富裕層を除き、人口の約85%は1日の収入が2ドル以下の貧困者で、医療費はすべて自己負担が原則だという。
しかし、平均的な糖尿病治療費用は、インスリン療法を必要とする患者で年間180ドルから350ドル、そうでない場合でも約70ドル前後で、ほとんどの患者にとって高価だ。そのため十分な治療を受けられず、死亡率や合併症の発症率がきわめて1型糖尿病の子供や若者を支援
国際糖尿病支援基金ホームページでは、同基金の活動内容や、途上国の糖尿病医療をめぐる現状を紹介している。
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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所