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2008年02月18日

インドでも糖尿病が急増 アジア人は糖尿病になりやすい

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 生活習慣と関連の深い2型糖尿病は、以前は肥満や過食のイメージがつきまとい「贅沢病」といわれることも少なくなかった。しかし、現在では途上国でも急増している。

 国際糖尿病連合(IDF)の予測発表によると、糖尿病患者は2025年までに世界で3億8,000万人に達し、その8割は途上国に集中する。毎年380万人が糖尿病関連の疾患で死亡する一方で、新たに700万人が糖尿病を発症しているという。
インドでも社会環境が激変
 インドは、糖尿病有病数が4,100万人と世界でもっとも多くの糖尿病患者を抱える国だ。森田繰織・国際糖尿病支援基金会長は「インドのような比較的貧しい国で2型糖尿病が猛威をふるっているのは、社会環境の変化の影響が大きい」と指摘している。

ナグプール(インド)の街路

クルマやバイクが普及している


シャラッド・ペンデセイ博士

国際糖尿病支援基金が支援している
インドの糖尿病患者たち

大多数の患者は高い医療費を支払えない
わが友、糖尿病-インドへの旅

 森田さんは昨年12月、インドの糖尿病患者のおかれた現状を視察してきた。森田さんが訪れたナグプールは、人口250万のインド中央部に位置する地方都市だ。インドは経済発展が著しく、ライフスタイルが急速に変化している。

 ナグプールでも富裕層向けの高級飲食店、ファーストフード店などが増えており、野菜を多くとる伝統的な食生活が失われ、油や肉など脂肪の摂取が増えている。また、自動車やバイクの普及といった移動手段の変化や、機械化による身体活動量の低下も影響している。

アジア人は「やせていても糖尿病」
 2型糖尿病の急増は、遺伝的な要因にも起因している。アジア人は欧米人と比べ、遺伝的に2型糖尿病を発症しやすいことが従来から指摘されている。ナグプールのクリニックで糖尿病患者を診療している糖尿病専門医、シャラッド・ペンデセイ博士によると、「肥満による糖尿病の発症は欧米人ではBMI(肥満指数)25〜26から上昇するが、インドではBMI22から上昇しはじめる」という。

 ペンデセイ博士は、月間約3,500人の糖尿病患者を診療している。ほとんどの患者は3カ月ごとの診察であり、診察している患者総数は約1万500人、うち1型糖尿病は約300人。「2型糖尿病でインスリン療法が必要な患者は少なくない」という。

 都市化が進むナグプールには、地方から出てくる人も多い。都会生活のストレスは地方出身者の糖尿病の発症増加の一因となっている。ペンデセイ博士は「医療体制が整備されていないことが、糖尿病患者の置かれた状況をより厳しくしている」としている。

 インドの保健・医療システムは、糖尿病など経済の発展にともない急増した病気に対応できていない。インドでは一部の富裕層を除き、人口の約85%は1日の収入が2ドル以下の貧困者で、医療費はすべて自己負担が原則だという。

 しかし、平均的な糖尿病治療費用は、インスリン療法を必要とする患者で年間180ドルから350ドル、そうでない場合でも約70ドル前後で、ほとんどの患者にとって高価だ。そのため十分な治療を受けられず、死亡率や合併症の発症率がきわめて高い。

1型糖尿病の子供や若者を支援
国際糖尿病支援基金ホームページでは、同基金の活動内容や、途上国の糖尿病医療をめぐる現状を紹介している。
 こうした危機的な状況にまったく手の打ちようがないわけではない。ペンデセイ博士が理事長を務める慈善活動団体「ドリームトラスト」は、経済的に困難な状況にある1型糖尿病の子供や若者を支援する活動を行っている。自身が1型糖尿病である森田さんが会長を務める国際糖尿病支援基金は、ドリームトラストなどと共同し患者を支援している。

 ドリームトラストは、インドの1型糖尿病患者の医療費や、医療機関に通院するための交通費などを肩代わりする「スポンサー」を国内外で募っている。スポンサー集めは1995年に始められ、支援している患者数は2007年に750人を超え、うち395人は子供だという。

 スポンサーは英国、オーストラリア、オーストリア、スイス、ドイツ、米国と世界的に広がっており、日本でも森田さんら国際糖尿病支援基金の活動により、10人の患者を支援している。

 スポンサーになる費用は1口3万6,000円で、糖尿病の子供1人、1年分の医療費に相当する。月収が3000円から2万円の家庭からみると、大きな支援となる。

 森田さんは「途上国の糖尿病患者を救う取り組みは、真に社会的な還元になる。患者を含む糖尿病に関わるさまざまな人々や組織が協力し貢献できることがたくさんある」と話している。

国際糖尿病支援基金「わが友、糖尿病」

国際糖尿病支援基金は寄付金・募金を呼びかけています。途上国の糖尿病患者さんのために活動する海外の団体を支援し、糖尿病患者を資金面・ボランティアなどで援助する活動をしています。 ≫ 詳しくこちらをご覧ください
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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